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男の子がコクンと頷く。 「どのくらい痛い?」 「昨日降った小雨くらい。」 やっぱり詩人だ!俺は男の子の顔をマジマジと見る。 「そっか。じゃ大丈夫だね。」 また流すのっ!?俺は驚いて、母親をチラ見してしまう。 クスクス声が聞こえてきて隣を見ると、鈴音さんが涙を浮かべて笑っている。 俺が見つめると、鈴音さんは分かってる、とでも言うように、笑いながらコクコクと頷く。 エレベーターを降りると、親子は手を繋いで楽しそうに百貨店を出ていく。 その後姿を眺めながら、まだ鈴音さんが笑っている。 「詩的センスと、スルー(りょく)の両方に驚いた。」 「驚いてたね。」 鈴音さんがクスクスと笑う。 「そんなにおかしい?」 「おかしいよ。」 鈴音さんが笑い、俺は幸せな気持ちになる。
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