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3
オレンジ色に染まった高架歩道を、二人でのんびりと歩く。
俺は鈴音さんの手を握り、プラプラと振りながら鈴音さんの顔を覗き込む。
「楽しかった?」
「うん。すごく。」
満足そうに微笑む鈴音さんの顔を見て、俺の心は幸福感で満たされる。
「さっきの子、何歳くらいだろう?」
なんとなく言うと、鈴音さんがオレンジ色の空を見ながら笑う。
「見当もつかないね。」
視界が開けた場所にでると、鈴音さんが立ち止まり、夕日を眺める。
オレンジ色の光に照らされて、鈴音さんの髪がキラキラと光っている。
綺麗だな、と思う。
「子ども、ほしいなぁ。」
ポツリと、鈴音さんが呟く。俺は鈴音さんの横顔を見つめる。
「子ども、ほしいね。」
鈴音さんが俺の方を向いて、笑顔で言う。
俺は微笑んで頷く。
「うん。ほしい。」
ずっと言えなかったことが、すんなりと言えた。鈴音さんも微笑む。
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