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「でも、できなくても幸せ。」
俺は、ずっと言いたかったことを鈴音さんに伝える。
「鈴音さんといられれば、俺は幸せ。」
鈴音さんが微笑んで頷く。
「私も。佐々木さんといられれば幸せ。」
俺はなんだかホッとして、心の底からホッとして、涙があふれてしまう。
「泣き虫。」
そう言いながら、繋いだ手を揺する鈴音さんの目からも涙がポロポロとこぼれていた。
二人で泣き笑いしながら、抱き合う。
鈴音さんがそっと体を離し、俺を見上げるとキスをしてきた。
「外なのに、いいの?」
「今は、たぶん、私たちにとってすごく大事な瞬間だから。」
俺は頷いて、鈴音さんにキスをする。
バイバイが寂しくないように、おはようと同じ色に染まった空の下、二人でキスをする。
これが俺たちの結婚式でもいいな、と思うくらい、とても幸せで、とても神聖な時間だった。
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