66人が本棚に入れています
本棚に追加
「幸せそうでなにより。」
日野が微笑む。
「ありがとう。」
俺が微笑み返すと、みんなが眩しそうな顔をする。
「王子っぷりは健在だわー。これじゃ鈴音さんも気が気じゃないね。」
「大丈夫だよ。俺、鈴音さん一筋だから。」
「はいはい。」
別の話題に移り、みんなが楽しそうに笑う。
俺は、微笑みながら他のことを考える。
田島と北見の挙式がなくなってホッとするなんて、友達失格だな。
二人の挙式には、同期は家族で招待される予定だった。
俺の婚約者の鈴音さんも。
たぶん鈴音さんは喜んで参列し、楽しそうに笑って一日過ごしたに違いない。
でもきっと、俺の同期が親になっているのを見て、こっそりと落ち込んだはずだ。
自分は子どもを持てるのだろうか、と。
俺に子どもを持たせてあげられるのだろうか、と。
最初のコメントを投稿しよう!