コーヒー

1/1
前へ
/4ページ
次へ

コーヒー

 目覚ましよりも早く目が覚めた。布団から起き上がり、カーテンを開ける。  優しい陽射しが窓から部屋に射し込んだ。  いい天気だ。私はそれだけで気分が良くなり、珈琲豆をミルで挽いてコーヒーを淹れようと思った。  タンブラーの上に直接ドリッパーを置き、フィルターを付ける。少し粗めに挽いた珈琲豆をミルからドリッパーに移し、ケトルのお湯を優しく注ぐ。  最初は蒸らすために、粉全体が濡れる程度だけ注ぐのだ。珈琲豆の成分がゆっくりと抽出されていく時間を、私はゆったりと待つ。  蒸らしが終わったら、いよいよ本番。ゆっくりと円を描くようにお湯を細く注いでいく。ドリッパーからぽたぽたと深みのある黒が落ちる。それに合わせてにふくよかな香りが立ち昇り、私の鼻腔をくすぐった。  できあがりを想像して、心弾ませながらも一定の量のお湯を注いでいく。丁度いい量になったところでドリッパーを外して、抽出を終える。  私は出来上がったコーヒーを手に持って窓庭に行き、外を眺めながら恐る恐るコーヒーを啜った。なんせ猫舌なもので。  うん、美味しい。最近コーヒーの味が安定してきた。最初はとても濃くなったり、変な匂いがしたりしていたが、今では味が定まってきている。これもコーヒーを入れる時の醍醐味かも。  始まりの1杯を飲み干して、私はタンブラーを洗うとカジュアルな服に着替えた。天気がいいんだから散歩でもしなきゃ勿体ないよね。  お気に入りのスニーカーを履いて、玄関のドアを開けた。天気は雲ひとつ無い快晴だ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加