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便箋
あなたに手紙を書く。
初めに、街の書店に赴いて便箋を探す。
便箋売り場には色とりどりの便箋が並んでいて、見ているだけで幸せな気持ちになる。
可愛らしいポップな柄もあれば、流れるような線の引いてあるエレガントな便箋もある。
私が好きな柄はお洒落な枠縁の付いているものだけれど、あなたが好きな柄はどんな模様だろう。
迷っていると素敵な便箋を見つけた。薄紫色の紫陽花が背景に淡く描かれている便箋。今は六月だからピッタリだ。
だけれど、あなたに渡せるのが六月だとは限らない。遠くにいるあなたに会うには、互いの予定が会わないといけないもの。
でも、だからこそ季節を写す便箋を使いたいと思った。あなたに渡す時、どんな気持ちで書いていたのか少しでも伝わるように。
紫陽花の便箋を手に取って、私はお会計をした。
この六月に私はどんな気持ちを描き記そうか。
あぁ、楽しみだ。
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