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リエントリ
生まれ変わったら、鳥だった。
えっ!? なんで鳥!?
ぽよぽよの羽毛を見てそう思ったけど、生まれたばかりの私をお迎えに来てくれた人の姿に、喜びで胸がいっぱいになった。
あぁ、神様は私の願いを叶えてくれたのね……
私は温かい彼の手の中に、うっとりと身を任せた。
初めて触れた、大好きな人のぬくもり。
艶のある黒髪もつぶらな瞳も、真近すぎてクラクラしちゃう。
「大事にしろよ、シオン」
「分かってるって。うわぁ、ちっちゃいなぁ。文鳥の雛ってこんななんだな」
「お前、サボテンまで枯らしたとか言ってたから心配だよ。なんかあったらすぐ言えよ?」
「サンキュー。じゃあ、もらってく!」
その日から、私はシオン君の文鳥になった。
前世ではただ見ていることしかできなかったシオン君が、毎日私を手に乗せて餌をくれる。
さし餌のスポイトを見つめる真剣な顔。
「喉の奥まで入れるって……ちょっと緊張するな」
食べる姿を見守る慈愛の眼差し。
「ほらぁ、口のまわりベタベタだよ?」
食べ終わった私を褒めてくれる、優しい笑顔。
「よしよし、上手にごっくんできたね」
あぁ……文鳥最高!!
ひとり餌を食べられるようになってからも、シオン君は私を放ったらかしにはしなかった。学校から帰るとまず私を鳥籠から出してくれて、ぎゅっと優しく握りしめてくれる。
それはもう、抱擁と呼んでも過言ではない愛の行為。私のすべてを包みこむ彼の手の感触に、体中が歓喜で打ち震える。
シオン君。シオン君。シオン君。
大好き!
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