プロローグ

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だから、あまりジロジロ見ないでいただきたい。 佐倉を見て顔を赤らめるなんて、もっての他ですよ。 ちなみに佐倉は、私の愛する母校の往年のライバルとして知られる、某「慶の字のつく名門私立大学」出身のボンボンです。 実家が太い、恵まれし人間です。 将来、佐倉は証券アナリストになりたいらしいです。 なんでも、中学生の時からの夢なんですって。 証券アナリストっていうのは、世に知られていない小さいながらも実力のある会社なんかを見つけてきて、投資をされる方々に鼻息を荒くして「みなさん!!ここに!!掘り出し物の!!良い投資先がッ!!ありますよ!!」ってやるお仕事です。 うん。まあ、そんな感じですね。 たぶん。 ていうか、そんな佐倉ですけど、いま実は私と同じ秘書課にいるんですよ。 去年度までリテール営業部っていう、花形といっていい部署にいたのに。 それがなぜ秘書課に? というか、同じ部長を担当しているんです、いま。 同じ部長に、2人の秘書がついているんですよ。 その2人の秘書の内訳が①椿あやみ(26歳:女性)②佐倉伶(26歳:男性)なんです。 謎でしょ?私もこの会社でしか秘書をやったことがないものですから、専門家みたいに語るのもちょっとアレなんですけど。 普通の会社だと一人の上司を一人の秘書が担当するっていうのがおそらくは一般的なパターンですからね。政治家じゃあるまいし。 だから謎だし、何より気まずいですよ。 この謎についてはこの後すぐに種明かしがありますから、どうかそのまま読み進めてください。 もう一つ。 なんで佐倉と一緒に秘書をやることが気まずいのかは、この後わかるかもしれないし、わからないかもしれないです。 でもたぶん、おわかりいただけると思います。 なぜなら私が、語りたがりな人間だから。
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