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酸っぱいポテトは予想以上に美味しかった。
ビネガーはすぐに蒸発してしまうようで、わたしたちはくすくす笑いながら小瓶を振り足してはポテトをつまみ、チーズバーガーをかじった。家族の話や、職場の人たちに関する悪意のない噂話を共有しながら。
「ああ、ギネスがほしくなる」
ヤスヨさんが漏らすと、
「ギネスビールございますよ」
隣りのテーブルを片付けていたさっきの店員さんが笑いながら声をかけてきた。
知ってます、とヤスヨさんも笑いながら軽妙に応じる。そんなやりとりさえ洒脱に思えて、わたしは憧れを募らせる。
バスと電車を使って出勤しているわたしと違い、ヤスヨさんにとってはこの町が地元だ。このアイリッシュ・パブはヤスヨさんが教えてくれた。パブなので夜の営業がメインだけれど、リーズナブルなランチもやっており、外食派の会社の人たちとかち合わない絶妙な場所にある。
たまに義両親に子どもたちを預けて夜に呑みに来ることもあるそうで、そんなプライベートなテリトリーにわたしを招き入れてくれたのかと思うとまたテンションが上がってしまう。
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