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アイリッシュ・パブで昼食を
「あ、ビネガーもらおっか」
ランチのチーズバーガーセットが運ばれてくると、おしぼりで手を拭きながらヤスヨさんが言った。
カウンターの中へ戻りかけている店員さんの背中に、すみませえん、ビネガーってもらえます? と甘い声で呼びかけている。その手首に、細いチェーンのブレスレットが揺れている。
なんとなくわたしも手をつけずに待っていると、店員さんが戻ってきてVINEGARと書かれた小瓶をテーブルに置いた。ヤスヨさんはそれを付け合わせのポテトにぴっぴっと振りかける。酸っぱいにおいがたち、食欲をそそった。
「本場のFish and Chipsっぽくモルトビネガーで食べるのが好きなんだよね。リカちゃんも要る? 酸っぱいの平気だったら」
「あっはい、じゃあいただこっかな」
小瓶を受けとり、わたしもポテトにビネガーを振りかけた。
ヤスヨさんのすることなら、何だって真似したくなる。
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