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全身ずぶ濡れのまま、国道沿いを歩いて帰った。倦怠感がひどく、太陽の残酷さは相変わらずだったが、手持ちの金も全て水浸しになってしまったのでしょうがない。
彼女はこんな僕のことをまだ好きなのだろうか。自惚れた考えだとわかっていても、もう訊ねる相手はいない。こんなのは、妄想と同じだ。
帰ったら、彼女の気配のするものを全て捨てようと思った。もう、そんな形だけのものに意味はないような気がした。
綺麗さっぱり彼女がいなくなった部屋で、それでもまだ彼女のことを考えるようなら、仕方がない。
そのときは。それなりに、ただ生きてみようと思う。
あのベランダの、白い君の姿だけを忘れないように。
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