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「さて!焼こうかな!」
空気を変えるように篠田は言って、温めたホットプレートに生地を丸く二枚置き、その上に豚肉を並べた。
「お、いっくん、焼くとこ見ようよ」
創太は、樹に言って危なくないように少し離れたところから、ジュワジュワとお好み焼きが焼けていくのを観察する。
「よし、そろそろかな」
篠田は、そう言ってヘラを差し込み、器用にひっくり返した。
「わ!凄い!パパ上手だね」
と創太は、樹に言う。
「うん、パパ上手」
樹も喜んでいる。
「黒川くんも、やってみる?」
篠田は、そう言って創太にヘラを渡してきた。
「うわー、できるかな?やったことない」
創太は、そう言いながら、もう1枚の方のお好み焼きに向かう。
すると篠田は、後ろから創太を抱きしめるように腕を回してきて、大きな手で、創太の両手を包んでくれた。
「簡単だよ、ほら。こうやって下にそっとヘラを差し入れて」
もうお好み焼きどころではなくなり、創太は、ほとんど手を添えているだけで。
篠田がくるり、と手前にお好み焼きをひっくり返した。
「ほら、簡単だろ?」
「あ、はい…」
緊張でガチガチになっていた創太は、篠田が離れてくれてホッとする。
樹が「そーた上手だね」と言い、三人で笑った。
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