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横になって眠る篠田の寝顔を眺めた。
睫毛長いなあ…
鼻、高い…眉毛も綺麗。
あ、髭、生えてきてる。
いつもちゃんとしている篠田の無防備な姿を見て、創太は胸を高鳴らせる。
憧れと恋の間で、心は揺れ動いていた。
そっと髪を撫でていると、隣の部屋から、うわぁ~ん…と泣き声がした。
「あ、いっくん」
起きてしまったと思い、寝室に入った。
「よしよし…大丈夫だよ」
ポンポンと布団の上に手を置いた。
「そ…た、おに…ちゃんしゅき…」
…うわあ…可愛い…
創太は、寝言でまで名前を言って貰って感激する。
樹の小さな手には、リュックがしっかりと握られていた。
自分の子供だったらもっと可愛いのかな。
お母さん、いっくんを置いて逝ってしまうのホントに辛かっただろうな。
ふ、と顔を上げると寝室の棚に写真と位牌が置かれていた。
あ、これが…
篠田の奥さんで、樹の母親。
綺麗で優しそうな笑顔だった。
リビングに戻ろうとすると、樹にシャツを掴まれている。
…いっくん、寂しかったんだな…
仕方なくそのまま樹に添い寝をして創太は眠ってしまった。
…夢に篠田の優しい声が聞こえて幸せだった。
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