家族

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トイレから出て、まだ寝ぼけている樹の手を洗わせ、ついでに顔も洗わせた。 「お兄ちゃんも洗うね」 そう言って顔を洗って鏡を見ると、髪が寝癖でクルクルになっている。 「はぁー、もう、やんなるなー」 水で濡らして押さえようとしたが、無理だった。 「どした?」 ひょいっと洗面所に篠田が顔を覗かせる。 「あ、いえ!その寝癖が!」 創太は、髪を必死に押さえるが、天然パーマなのでどうにもならない。 「フワフワで可愛いね」 篠田はそう言って不意に創太の頭をポンポンと撫でる。 …うわ… 見る見る自分が真っ赤になっていくのが分かり、慌ててまた顔を洗った。 「そーたお兄ちゃんどおしたのー?」 樹は、キョトンとしている。 「な、なんでもないよー」 創太は顔を拭いて、篠田の背中を見た。 …なんだよー、わざと? 篠田の気持ちが判らずに、創太は混乱してしまった。
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