ヤキモチ

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「何やってたんだよ。早く食わねえと時間無くなるぞ」 高山は、そう言って麻婆豆腐の最後のひと掬いを食べている。 「あ、うん。ちょっとトイレに」 創太は、慌てて麻婆豆腐に手をつけた。 「ふうん」 小田は、訳知り顔で少し笑っている。 「何ですか?」 「ううん、何でも。で、どこに吞みに行くのー?」 心で小田に手を合わせた。 創太は、まだドキドキしていて食欲が無かったけれど、変に思われたくなくて必死で箸を進める。 …会社でキスするなんて… 今までの創太の人生には考えられない事件だ。 思いだすと勝手に顔がニヤけてしまい、その日は一日中大変だった。
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