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午前中に洗濯と掃除を済ませ、創太は食料の買い出しに大型スーパーに出掛けた。
いつもは、近所の小さなスーパーやコンビニで済ませているのだが、たまに気晴らしがてら大型の店に行く。
車をもっていないので、もっぱら自転車で買い物に行っていた。
カジュアルな店で洋服を見て、Tシャツと下着を1枚ずつ買う。
その後、食料品売り場で、何を買おうかとブラブラ歩いていた。
…ん?…
創太は視線を感じて振り返った。
小さな男の子が、じっと創太のことを見ている。
彼の視線を辿ると創太が掛けているボディバッグだった。
「ふたばしゅじゅきりゅー!」
男の子は、そう言って創太のバッグを、指さした。
「え?」
「ふたばしゅじゅきりゅー!しゅき!」
創太のボディバッグには、小さく恐竜の刺繍がしてあった。
あまり大きなものは恥ずかしいので、ワンポイント程度だったけれど、結構上手く出来て気に入っていた。
「あ、フタバスズキリュウ、ね」
創太は男の子にニコリと笑いかける。
「これ好き?」
創太が、言うとコクコクと彼は肯く。
「かっこいいよね、フタバスズキリュウ」
またコクコクと肯いている。
「お母さんは?」
創太が聞くと彼は、キョトンとした顔をしている。
「お母さんいないの?迷子かな」
創太は、心配になってきた。
3歳くらいかな…
キョロキョロと周りを見ても、探している母親は居なかった。
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