恋人の時間

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小学校の時の社会科見学以来かもしれなかった。 巨大なティラノサウルスの骨格。 天井には、プテラノドンの模型が飛んでいる。 巨大な物から愛嬌のある小さな恐竜まで見て回った。 樹は終始、興奮状態で「わあ!パパ!そーたお兄ちゃん!観て観てー!しゅごい!」と大騒ぎだった。 昔と違うのは、3D映像があることだ。 迫力があり、本当にこんな生物達が生きていたんだと創太は不思議な気持ちになった。 最初、樹は少し怖がって篠田に抱っこされていたのだが、すぐに飛び降りてあちらへこちらへ走ってゆく。 それを二人で追いかけているうちに、お昼になってしまった。 「ちょっと休憩してご飯にしようか」 篠田が言い、三人で食堂に向かう。 樹は、今日も創太のあげたリュックを背負い、張り切って先頭を歩いている。 「そーたお兄ちゃん、おてて」 創太のほうに伸ばしてくる小さな手を繋ぐ。 創太は、少し恐竜の時代に思いを馳せた。 ─ずっと変わらないものがあるとすれば、きっと愛情だろうな。 小さな命を大切に守り育てる。 それだけは現代にも引き継がれているのだろう。 樹がただ可愛いだけではなく、創太にとって守るべき存在に変わりつつあった。  
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