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エピローグ
「創太、お弁当にタコさんウィンナー入れるなよ!」
中学1年生になった樹が、ムッとして空の弁当箱を突き出した。
「あー、ダメだった?ごめんね」
創太は、怒っている樹が可愛くて思わず笑ってしまう。
「俺、もう中学だし!」
ここのところ身長がどんどん伸びて、そろそろ創太は、抜かれそうだった。
「樹!せっかく作ってもらったのに文句言うんじゃない!」
篠田に怒られて、樹は部屋に入ってしまった。
「こら!樹!」
怒っている篠田をまあまあ、と創太は宥める。
「見てこれ」
「え?」
お弁当の包みを開けると、ノートの切れ端を破ったメモが付いていた。
『創太へ お弁当ありがとう。
うまかった。樹』
「あいつ…全く素直じゃないなあ」
閉められたドアを二人で見た。
いい子に育っているのは間違いない。
普通とは、少し違う家族だけれど…
嫌がられるだろうけど、明日のお弁当包みに、ハートを刺繍しようかな、と創太は思った。
─fin─
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