第6章:自分からフラグに挑んでみせましょう

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 ほーん、大体は予想通り……って。 「は!?」  思わずわたしはイルを二度見してしまった。  ふんにゃら領のヘレヘレ辺境伯! あいつ重要キャラだったんかい! 重要な訳無いってどっかで言ってなかったっけ!?  というか、ヘレヘレ辺境伯は、アーリエルーヤ(わたし)のお披露目誕生会で相当なトシだったから、あのキラッキラした息子が跡を継いだのか。で、わたしに袖にされたのを逆恨みしたってところか。  元側室はわかる。絶対やりそうだもん。  これはすっ飛ばした話だが、わたしとイルが出会うより三年前。お父様はアーリエルーヤ(わたし)だけを嫡子として擁立させる為に、側室全員を離縁して故郷へ帰した。  その時に、帝国の財産を大分切り崩して、側室とその家族達が一生遊んで暮らせるくらいのお金は持たせたんだけど、一人だけ、諦めの悪い女がいた。  その女が、『この子は間違いなく陛下と私との間に生まれた御子です!』って、金髪の男の赤子を連れてきたんだわ。  あのねー。ほんとねー。見境ないねー。  お父様はその時にはもうわたしにかかりっきりで、側室の誰ともよろしくやってなかったし、赤ん坊の顔は全然お父様に似てないから、真っ赤な偽物だって一発でわかるんだけど、いかんせん証拠が無い。お父様は真っ青になって狼狽えた。  そこでわたしが思い出したんだ。 『セイクリッディアの花輪』の登場人物には、「向こう」と同じ血液型設定をしていた事。  血液型の設定があるなら、調べる方法もあるはず。そう信じて城の生化学研究室を当たったら、ビンゴ。『できます』と室長は自信満々に頷いた。 「アーリエルーヤ」はAB型。それはわたしになっても変わらなかった。  そして調べた結果、お父様もAB型。側室が連れてきた子供はO型。  はい、これでクロよ。 『片親がAB型の場合、もう片親が何型であっても、決してO型は生まれません!』  本当は生まれたての頃から成長すると変わる場合もあるんだけど、それを言い出すとややこしくなるから、確定事項としてわたしは力説をぶった。 「向こう」では理科が一番得意だったんだからな。中高六年間定期試験順位一桁を保ち続けた優等生、なめるなよ。  まあとにかく、その時の側室の絶望と屈辱に満ちた顔は、凄いの一言に尽きた。  余計な欲を出さなければ一財産抱えて帰れたのに、それも取り上げられて放逐よ。  それがどう辿り着いたのか、辺境伯になったあの息子と手を組んで、揃ってアーリエルーヤ(わたし)に復讐にきたって訳か。
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