第6章:自分からフラグに挑んでみせましょう

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 ……。  えー……。  ハイッ!?  今のあれだよね!?  恋する男女の営みの一環ですよね!?  どういう事どういう事!?  イル、あの子何を思ってあんな行動に出た!?  というか、あの子こんな事知ってたの!?  というか(二回目)、めっちゃくちゃ慣れてたぞどこで覚えたんだ!?  というか(三回目)、「向こう」での人生も合わせてマジで初めてだったんですけどーーーーーッ!? 「ホアアアアア……」  もう変な声しか出ない。顔は茹でダコだ。心臓ばっくばく言ってる。  腰が砕けてその場に崩れ落ちそうになるが、何とか膝を叱咤して立ち続ける。  動揺してる場合じゃない。イルの真意を問いただす為にも、生きて『エルフォリアの迷宮』を攻略し、『掟知らず』の悪魔をどうにかせねば。  それを実行するには、わたしがニナに同行して、迷宮の扉を開けなくてはならない。伝言を彼女に届ける為に、ヘメラを呼ぶベルを鳴らそうとした時。 「おい」  アーモンドをかじり終わったケージが、ちょいちょいと籠の格子をつっついてきた。 「オレ様も連れてけ」 「アアン?」  思わずガラの悪い声が出る。『エルフォリアの迷宮』にケージを連れていくなんて、「アーリエルーヤ」そのまんまじゃないか。  不信感はばっちり顔に出ていたらしい。「そう構えるなよ」とケージは、モルモットではなく、餌を食べる時のコツメカワウソみたいなあくどい顔をする。 「こう見えて、オレ様だって、担当の物語にちょっかい出されて頭に来てるんだよ。反撃出来るメンツは多い方が良いだろ?」  正直、こいつの事を信じ切れた訳ではない。何せ悪魔なんだ。甘い言葉で誘惑して、最後の最後に裏切るかも知れない。  でも、首尾良く『ソロモンの火壺』まで辿り着ければ、こいつも『掟知らず』も、まとめてどうにか出来るかも知れない。  ここはひとつ、表面上は手を組むか。  決意して、籠の扉を開ける。ケージは嬉しそうに籠を飛び出して、すとととと、とわたしの肩にのぼってくる。 「さあ、行こうぜ」  ケージが腕を組んでふんぞり返り、往年のケージの最高に格好良い主人公の決め台詞みたいな声で(のたま)った。 「オレ達を怒らせた事を奴に心底後悔させるくらい、派手にやってくれよ、アーリエルーヤ!」
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