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第2章:ヒールじゃなくなったんだからヒールは要らなくない?
『つまんない! 一緒に遊びたくない!』
子供の頃からそうだった。
『全く。ちょっと成績が良いからって自由にさせてたら、三ヶ月で会社辞めてくるなんて、とんだ恥さらしよ!』
親はわたしをわかってくれない。
『お前みたいなダサい女子と並んで歩くの、カッコ悪いし』
勇気を持って告白した相手には手酷くフラれた。
『あー駄目駄目。お前の書く小説は、全然ウケないんだよ。三十年古いわ』
唯一の矜持も否定される。
『 さんと一緒にいると楽しーい! 言って欲しい事全部わかっててくれるんだもん!』
『今度皆で呑みにいこうね~!』
『……あの人も誘う?』
『えー……やだなあ。あの人の話、面白くないし。気を遣うの面倒臭い』
『でも誘わないと、いじめだとか何とか言われるよ~?』
『メール連絡したけど返事が無かったんですーって言えば大丈夫大丈夫!』
『だよねえ~! やっぱり さんはあったま良い~!』
『……あ。横目でこっち見てるよ。気持ち悪~』
『無視無視! 皆で相手にしなければ良いんだから!』
友達だと思っていた子達からも仲間外れ。
「わたし」には、居場所も理解者も無かった。
精神的にぼろぼろにまいって、ふらふら歩く病院帰り。
歩道橋の階段の最上段で、酷い目眩に襲われたかと思うと、足を踏み外して。
その後は、まっしろ。
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