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2 歴史学的説明図
長期的にみると、技術が進めば社会が変わり、
社会が変われば政策も変わり、
その政策がさらに次の技術開発を促す……という、
螺旋的な上昇の循環によって、文明が発展していきます。
まず重要な点として、個人の活動と違って文明活動では、
決定(制度・政策)と行動(経済・社会活動)の順番が逆になります。
ある技術水準のもとで人々が様々な社会活動を営む中から、
試行錯誤によって制度・政策が確立されていくからです。
技術や政策の社会的・長期的な流れは、
多くの人々の活動から得られ、またその基礎になるので、
個々人の各行動における認識や決定と全く同じではなく、
総合的な見識や人格の形成に近いところがあるのでしょう。
科学・技術(工学)や制度・政策においては、
法則・技術や理論、理念・法規や制度といった、
一般的な認識・決定やその体系が重視される、
というのもその表れだと思います。
次に、具体的な文明発展の過程を見ると、
生産・輸送・通信や軍事に関する科学・技術が発達すれば、
経済・社会活動が拡大・省力化と共に複雑・加速化するので、
それに応じて制度・政策も高度化し、巨大化と同時に分権化します。
政策の巨大化と分権化というのは、一見矛盾するように見えます。
でもそれは、必要とあれば大勢が動くが、
それにあたっては、より多くの人々が決定や改善に関わるように
なっていく、ということです。
歴史上、国家の統合が進み、
国際協調主義や全球統治の理念が生まれる一方で、
政治的民主化や経済の自由化、地方分権、様々な監査制度、
そして人権保障が発達してきたのは、その表れだと考えます。
また他方で政策は、新たな科学・技術の研究・開発も促します。
画期的な新技術の開発や普及には多くの資材や人材、資金を要し、
巨大科学と言われるような現代の科学・技術では特に、
その傾向が著しいからです。
アメリカが情報革命に成功したのは、
アポロ計画や核戦争対策における電算組織の、
国家的な開発努力によるところが大きいと言われます。
しかし、多くの技術は物的資源に具現化されないと
社会を豊かにすることができません。
また、政策は人的資源を通じて実現されないと、
社会を健全に保ち、確立されることができません。
さらに、政策が新技術を開発・普及する際には、
自然・社会環境が制約・促進要因となります。
そのことは、大戦で日本が敗れた大きな理由(物資の不足)や、
民主的な憲法のもとで独裁者ヒトラーが生まれた原因
(民度[社会的知識や政治的成熟度]の不足)、
英国の産業革命を助けた条件(原料、労働力、資本や市場の存在)
などに表れています。
しかし、これまでも先人が行ってきたように、
失敗であれ成功であれ、過去の経験から文明の潮流を読み取り、
現在の状況分析と合わせて、将来の活動に活かしていければ、
必ずや社会の繁栄に役立つと思います。
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