7 社会工学的技術の分類図

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7 社会工学的技術の分類図

94946cd1-2139-4422-b400-877d81738348 科学・技術と制度・政策には、 経済・社会活動に働きかける際の 直接・間接・自助・互助といった経路(ルート)の違いに応じて、 それぞれ4つの区分がありました。 技術と政策の互助ルートのうち、 技術側のルートが社会工学的技術でしたが、 それはさらに、政策のどのルートを助けるかによって、 3つのルートに分けられます。 (1)組織・会計技術……共同支援ルート 経済・社会政策を助けるルートです。 公的保険政策を担う企業保険組織や、 産業政策の基礎にもなる財務諸表などの技術です。 大きな経済・社会活動に直接働きかけて健全性を保つ、 経済・社会政策を助けるために、 自らもまた広く経済・社会活動の中で共に働き支援する、 といった特徴があります。 これにより、広くは民間組織の決定も含む、 政策による利害調整の生産性(効率性)を高めます。 (2)公教育・公衆衛生技術……部分支援ルート 人的資源政策を助けるルートです。 政策実現の必要条件である人的資源の確保を図る、 教育・保健といった人的資源政策を助けるために、 一般的な経済市場などからは得にくい支援を提供する技術です。 私的な家庭教育や健康法と違って、 社会全体の教育を高めたり、健康を守ったりする政策には、 より公共的な配慮や社会工学的な知見が必要です。 そこで、それらを含む公教育や公衆衛生の技術が、 教育・保健政策の実施を助けます。 (3)企画支援技術(オペレーションズ・リサーチ)……特別注文(カスタムメイド)ルート 行政管理政策を助けるルートです。 政策自身の健全性を保つ行政管理政策において、 行政活動の生産性・効率性を高める技術です。 広い意味では経済・社会活動の一部とはいえ、 公共性や公的権限を持つ行政活動の特殊性に応じ、 いわば特別注文(カスタムメイド)の支援を提供する技術です。 英国の対潜水艦戦や本土防空戦などの中で生み出され、 発達したことで知られます。 もっとも以上については、理論的な分類であり、 現実的には重なることもあります。 技術同士、政策同士、技術と政策の対象はつながることがあり、 政府や研究機関の活動も広義では経済・社会活動の一部であるうえ、 実質的には企業などでの技術開発や政策決定も多いからです。 農地の造成は、農耕技術にも土木技術にも関わります。 自動車は、動力機関と機械工学や電子工学の集合体です。 政策を助ける財務諸表の記法は、 そもそも私的な会計帳簿からきたものです。 軍隊から始まった企画支援技術(オペレーションズ・リサーチ)は 後に民間でも活用されるようになっています。 そうした重なりを考えるのも面白く、 さらなる技術の開発や応用に役立ちうるのではないかと思います。
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