呪いの行方

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 そうして数年経った頃、さびれた貧しい農村を通りかかった。そこで一人の子供が数人の子供に石を投げられ棒で叩かれていた。周囲の子供は皆年上だ、少年は血だらけだった。 「何をしている」  男が聞けば子供たちは余所者に警戒したようだが口々に叫ぶ。 「こいつはリュウホの子孫だ! コイツのせいで国が荒れる! 雨が降らない! 皆が不幸だ!」 「英雄であり友達であるハオランを殺した極悪人! ハオランが戦っていたら戦に勝ってこの国はもっと豊かだった! ハオランが死んで戦に負けてチョウ国の従属になった! 高すぎる税で食う物もない!」 「こいつは呪われてる! 皆が不幸になる!」  あ、こんなところにいたのか。そんなことを思っているとまた子供たちは再び石を投げようとした。しかしその手を男……ハオランは掴む。 「それ以上はやめろ」 「なんでだよ! お前には関係ない!」 「そうだなあ。どうしてもやりたいなら」  ハオランの周囲におびただしい数の鬼火が舞う。それは道士が操るもので力の強さに比例する。数が多いほど、炎が大きいほど強者だ。ハオランの周りは山火事のような炎が溢れる。 「俺を倒してからにしろ」 「ひっ」  その強さに子供たちは恐怖に顏を歪め、蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。ふん、と息を吐くと少年がハオランの服の裾を掴む。 「なんだ、別に助けたわけじゃ」 「俺に道術を教えてよ、おじさん」  その瞬間ハオランは履いていた靴を脱いで掴むと思い切り少年の頭を引っ叩いた。 「だああああれがおじさんだクソガキ!! 俺はまだ二十六だ!」
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