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[その5 煽る校長]
先述の件で校長のお叱りを受けている時のこと。
「全く、大庭園を荒らした理由がドッキリでマジギレと。なかなか呆れたものですよこれは。狭量、実に狭量」
いきなりダイレクトかつ酷い言いよう。エンゼルの額にハッキリと血管が浮き出て、今にも誰かを殴り飛ばしそうな勢いだ。そして性格の悪いことに、校長は更に追い打ちをかける。
「そもそも、ドッキリとは娯楽です。娯楽で済む範疇に留まらないドッキリには何を思おうが勝手ですが、これはその範疇に留まっているじゃないですか。だから冗談として流してやるのが本来のやるべきことです。まあ確かにね、一種の義憤とも言うべき感情を持ちうるところはありますよ。でも、怒った原因は何ですか、理不尽な問題にムカついた?ドッキリなんだから当然です。まさに笑止千万」
こんなでも一応相手は校長なんだから落ち着け、とエンゼルは自らに言い聞かせる。校長のペースに飲まれては負けだ。唸り声まで出ているが、なんとか堪える。しかし、校長は煽りに煽る。もはや面白がっている。
「それで一緒の被害者だったからとアイリアさんを誘って。なんでまた1on2なんですか。ニルヴ君のことはあなた一人でコテンパンにできるでしょう?違いますか?やることがなんというかその、小物ですよ。トイフェル家のプライドとは無関係なところで、あなたは大物であるべき人なんですから。癇癪って損ですよ」
「校長先生……貴女はなんでそんな的確に人を怒らせることが言えるんですかっ!」
遂にキレてしまった。校長は笑い転げた。そしてそれを校長室前で聞いていたアイリアは、すっかり萎縮してしまった。
果てには、こういうことになった。
「さあ、次はアイリアの番。さっさと行く!」
「えっ、ちょっと首はやめ……ギャアーッ!」
校長室に人を投げ込んだ件については、校長は叱るのを諦めたようだ。
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