1人が本棚に入れています
本棚に追加
[その7 服どこ?]
「ねえアイリア、私のワンピが一着どうしても見つからないんだけど、知らない?」
「そんなこと言われても、どんなのか分からないとねぇ、エンゼルの服多いもん。どんなの?」
「特徴的なのは、真っ赤なことね。私が持ってる服で唯一の、真っ赤な服。知らない?」
クローゼットの中に入っている全ての服を確認したが赤いものは無い。バッグに入っている様子もなかった。となると、なくしたということになる。
アイリアが間違って自分の服と混ぜた、ということも当然なかった。思えばアイリアが持っている服は普段着の同じ服がたくさんと、一着の男物スーツくらい。赤い服と間違えるなどまず無いだろう。
「ああんもう、どこ行っちゃったのよ!今日は絶対あれを着ていくって決めてたのに……昨日洗濯物干したときにはあったでしょ?」
「うん、間違いないよ。ここのベランダで干した。風で吹き飛ぶとも思えないし……あれ?」
「どうしたの?」
「いや、よく考えたらハンガーごと無くなってるよねって」
つまり、誰かが盗んだ可能性が高くなってきた。しかし、この部屋は寮の最上階。つまり、まともな人間には辿り着けない。
だが、ここに当たり前のように来て、何かをやらかしそうな者を一人、知っている。エンゼルがもしやと思った瞬間、窓の外に、焦茶色のロングヘアーが見えた。
「ごめんなさいね、これ返します。なんか綺麗な服だから隙を突いてちょっと貰って着てみようっておもったんですよー。でもほら、考えてみれば分かることなんですけど、私にこのサイズってとっても小さいんですよ。幅的には入るには入るんですけど、ウエストの位置が明らかに合わないんですよ。これはエンゼルさんが活かすべきものだったんですね〜」
ベラベラと楽しそうに話す校長に、エンゼルは思いっきりグラスを投げつける。防壁で受け止めながらも、少し校長は引き気味だ。
「うわあ、怖いですねなんか……」
「人のモノは!盗んじゃダメでしょーが!」
以上、エンゼルの怒らせ方でした。
最初のコメントを投稿しよう!