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しかし、聞かなくても勝手にエリアスは説明してくれた。
「あの人、どうやら最近は普通の人間として生まれた者を人工的に魔女並に強くしたいとか言いだして……で、元から強い僕が勝手に実験体にされてるわけさ」
「それはなんというか……ご愁傷様です」
黒い目は、試しに闇魔法のエネルギーを注入でもされたのだろうか。そして当然、普通の人間に扱えるエネルギーではないので失敗したのだろう。
「強い人間を作る実験で一時的とはいえ凄まじい弱体化だよ、これじゃ。今なら君にも勝てそうにない」
「そりゃあないでしょう。まあやる気が無さそうって意味ではワンないでもないですけど」
「昨日約束をした時点ではこんな醜態晒すつもりはなかったのに……!ああ、いっそここで死んでしまおうか、このあとも怪しい薬とか飲まされるんだ」
精神まで汚染されているように思われる。これは本当に大丈夫なのだろうか。つくづくあの校長はマッドサイエンティストもいいところである。いや、魔法関係のことなのでマッドマジシャンだろうか。とにかく狂っている。
「うーん、このままじゃちょっとエリアスさんのメンツが危険で危ないですね。解析して、とりあえず汚染だけ解いておきましょう」
「いいのか?そう簡単なことではないと思うが、すまないな……よろしく頼む」
数分かかったが、精神汚染が解けたらしくエリアスの表情が軽くなる。目も真紅の輝きが戻ってきて、発光しているのがわかる。
彼はの目は真紅の目の中でも普段からやんわりと発光する特殊なものだが、その発光が強まっているということはおそらく絶好調を意味している。
「ああ、これだこれだ!ありがとう、恩に着る」
「なんとかなって良かったです」
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