アイリア編 天才の奇人ライフ

2/8
前へ
/100ページ
次へ
 観察してみると、確かにかなり複雑に取り付けられているらしい。頭にそのまま花が咲いているように見えるように、様々な機構が組み込まれているようだ。ちなみにこの髪飾りは、10歳の頃に親から誕生日プレゼントで貰ったものである。 「それよりも、フォイエルは?今日は一緒じゃないんだね」 「ああ、今日は会長さんとエリアスさんのとこにまず寄るんだってさ。1限も欠席するらしい。多分リイラについて、詳しい報告をするんだと思う」  フォイエルは、時々自室の隣にあたる生徒会のツートップの部屋に、こうして報告に行く。理由は実に明快で、「ゲルパー以外の保護者が必要」だからである。  アイリアは、いつもこうして毎朝食堂でニルヴかエンゼルと語らっている。たまに、知らない生徒に勉強を教えるように頼まれたりもする……のだが、あまりまともに答えていない。  理由として、面倒だというのが第一にある。意外と面倒臭がりなのだ。第二に、知らない人と話すのがとても苦手なのである。エンゼルと初対面の時に大いに緊張していたのは印象的だ。  そして、最たる理由が、エンゼルやニルヴで十分なことだ。魔法の使い方なら感覚派でやってる天才肌の自分よりエンゼルの方が分かっているだろうし、単純な知識ならニルヴの方が上だ。  そういうわけで、勉強を教えるように頼まれてもほぼ対応しない。ただ、例外的に教える分野がある。  物理演算である。アイリアが最も得意とする分野であり、アイリアの強さの裏付けとなるのが物理学である。アイリアの技の精度の高さは、頭をフル回転させて計算してコントロールすることによるものである。  物理の話、哲学の話。この二つの分野が関わると、アイリアは急にノリノリになることは、もはや校内で広く知られていた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加