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むしろ、セクハラ常習犯はアイリアの方である。かなり無自覚に、高頻度でやってくる。
「はぁ〜、でも安心するなあ。ニルヴの首筋辺りから森みたいないい匂いがするんだよねえ、えへへ」
「自然な流れで嗅ぐなよ、全く……」
別の変人ポイントに移る。それは次の授業で実験実習を行ったときのこと。
今回はマジックアイテムにおける貴金属の量と魔素粒子の反応傾向を見る実験。それなりに高度な設備と貴金属を用意できる財力が必要な実験。校長とアリエル先生様々(というかトイフェル家と校長のコネ様々)である。
そんな金のかかった設備を、アイリアは全力で無視して紙に向かい合っている。その横には電卓。一緒に実験をしているフォイエルが困惑しながら実験を進めている。
「あのー、ちょっとそれは何なんだよ。俺のこと、手伝うとかないのかよ?」
「ないよ。紙の上で完結するもん、このくらいのことは。知識と数字は嘘をつかないんだよ〜」
「それを、実際にこの目で見て検証するっていうのが実験の意義ってもんだとは思わねえかい?」
「実験はデータ採取。データから推測して、現れた数字が真実。物理学、数学という科学の根っこにある分野はそういうもので、魔法物理学においても……」
「あーはいはい分かった。お前さっさと飛び級で卒業して学者になれ。どこの大学にも需要あるぞ」
大学でなくてもいい気がするが、それでも研究者としてはかなり需要がありそうだ。ただし、現在のアイリアは研究者の観察対象でもある関係で、卒業はさすがに無理である。
「よし、結果はだいたい分かったよ!それで、実験の方は?」
「中盤にようやく差し掛かった。ここまでの結果はメモを……見なくてもお前のことだ。多分合ってるだろ」
その通りだった。
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