アイリア編 天才の奇人ライフ

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 こんな調子で、アイリアはとにかく人を置いてきぼりにするのだが、真にアイリアが恐ろしい変人ぶりを発揮するのは、放課後である。  基本的に、放課後なので被害者はエンゼルである。たまにニルヴも巻き込む。被害者はほぼこの二人だけだ。  この日は、エンゼルと二人でショッピング。エンゼルが新しい服を買うのに、アイリアは付き合っていた。 「この服、前買ったやつと同じじゃない?また買うの?」 「あ、考えてみればそうね。こういうゴスロリ系って、ついつい持ってるかどうか関係なく買いたくなっちゃうの。わかる?」 「うーん、よく分かんないなあ。でもそっかあ、そういう可愛らしいのが好きなんだ……じゃあ、こういうのどう?」  そう言ってアイリアが指差したのは、とても可愛らしい、子供服のようなデザインと広く定義すればロリータファッションと言える……のだが、エンゼルの着るものとは全く異なるもの。ヒヨコのフェルトがとても可愛らしい。 「イヤイヤ、違うでしょそういうの。だいたいなんでこの店にそんなのあるのよ。真剣に考えてるのかふざけてるのかハッキリして?」 「うーん、ダメ?」  明らかにこれは本気で選んだのだろう。どこかズレているのだ、仕方がない。エンゼルは割り切って彼女に服を選ばせないことにした。 「そういえば、さっき同じやつって言われて思い出したんだけど」 「んー?」 「アイリアってその服しか持ってないの?いや、似合ってるからいいんだけど、たまには違うものもどう?」  考えてみれば、白いブラウスに、青いミニスカ、フリル多め。ずっとこれである。 「うーん、じゃあたまにエンゼルのを借りたりとかは?たくさんあるし」 「させるかバカ!私の服って意外とデリケートなのよ!何より……体格、違いすぎるでしょーが!」  身長差、実に14cm。いや、もうそろそろ15cmかもしれない。エンゼルの服が、アイリアに入るわけがなかった。
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