アイリア編 天才の奇人ライフ

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 そして、そのままスーツを着た状態で寮まで戻ってくる。当然寮はざわつく。一瞬男子に見えるくらいスーツがサマになっている、というのだけならこの学校でもたまにある。そういう女子がいないでもない。  だが、よりによって1年生で一番の有名人が、急にこのような服装になると誰もがざわつくというもの。 「くうぅ……ちょっと恥ずかしい思いをさせてやろうって思ったのに、こっちが恥ずかしくなっちゃってるじゃない」  エンゼルの目論見、外れる。アイリアという人物はつくづくアウトオブコントロールだ。  さらに追い打ちをかけてくる。 「えへへ。なんかこんな風に歩いてて、皆が見てると、こう……カップルになったみたいだよね」  エンゼル、吹き出す。咳き込む。床に蹲う。そしてアイリアの胸ぐらを掴む。綺麗に整った襟がめちゃくちゃになるくらいの握力で鷲掴み。 「何言ってんだお前はァ!私は貴女とカップルなんて絶対に認めないわよ!私は……」 「いいじゃんいいじゃん。あたしとキミの仲ならもうそんなもんだって!」  胸ぐらは解放されるが、エンゼルの顔はより険しいものになっている。しかし、アイリアはそんなことはお構いなしにに続ける。 「まあまあエンゼル。力ずくでケンカをしてもまああたしには勝てないだろうけど、そんなことをする前にあたしはそれでいいと思ってるし、そんな雰囲気でいれるのが嬉しいんだよ。そこんとこ分かって、ね?」 「ハァー……もういいわ、いつか貴女のことは力ずくで圧倒してやるってことで」  口調は落ち着いているが、苛立ちや怒りは先程までよりも強くなっているのが分かる。  こんな風に振り回され、怒らされてはいるが、なんだかんだで仲のいい友達だ。  夜には自室で仲睦まじく会話を交わしながら、一日を終えていくのであった。
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