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第二話
ヴィンツェンツによって風通しの良くなった廊下を、研究棟長室に向かって日向、ヴィンツェンツ、リンネ、エーアトベーレンは進んでいた。
人を集める道すがら、情報を共有する。
話を総合するに、オイレンはAIデルスニクを含め、管理権限をほぼ完全に奪われてる、と言う事だ。
敵はアンジェラんl体を乗っ取り、リンネを攻撃した。明らかに危害を加える意思を持った人物がいる。
そして確実ではないが、それがそのたった一人の犯行であると言う事実はその場にいた全員を震撼させた。
「…直接接触したアンジェラも敵の目的は解らないと言ったんだね。」
ヴィンツェンツは声のトーンはそのままに呟く。
アンジェラは賢い。上手く敵の言葉を引き出す話術も心得ている。
それが、情報を聞き出せなかったと言う事は、相手も言葉選びを考えられるほど知性があると言う事だ。
「目的を明かさないのではなく、そもそも犯行だけを楽しんでいる愉快犯とも考えられますな。」
エーアトベーレンは可能性を補足する。
「しかし、愉快犯なら犯行声明も出さずにこんなに停電だけを続けるか?」
日向も現状を分析した見解を述べる。
「…。コンピューター、みたいな事…言ってた。」
ポツリとリンネが言う。
「コンピューター?」
と、聞き返したのはヴィンツェンツと日向だ。
「ん…。」
リンネは話そうとするが、何か言おうとして俯き、また口を開きかけて黙ると言う行為を繰り返した。
「リンネ、言葉を纏めようとしなくていい。覚えてるならその通りに言ってくれ。」
日向が助け船を出す。
「…"アンジェラの記憶を覗いてたら時間掛かっちゃって。"
"やっぱり寝起きは処理が多いから起動が遅くってダメねえ。"って。」
リンネは敵が言ってた言葉を機械の再生のように再現した。
「なるほど。データ処理に時間が掛かって起動に時間が掛かると。確かにコンピューターのようだね。」
ヴィンツェンツが言う。
「あと、…名前はないって、言ってた。お化けだって。でもレインゴーストなら良いって言ってた。」
「……。」
ヴィンツェンツはすぅっと眼を細めた。
「不可解なヤツだな。」
日向は眉を潜めた。
「マキくん、敵は他に何を言ってた?」
リンネは少し考える素振りのあと、口を開く。
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