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「ふっ…あはははは!」
楽しそうに、アンジェラの2つの口が笑い声を上げた。
「やっぱり貴方、スゴイわよ。この状況で随分冷静だわ。」
暗闇はただでさえ不安をあおる。
しかし、リンネは原因が目の前の存在にあると解って、友人の安否を確認し、さらにアンジェラがアンジェラ自身でないと見抜いているのだ。
(それとも友情のなせる技かしら?これだから人間は…)
クククク、と笑みを殺す。
「そうね、質問に答えましょうか。」
勿体振った調子でアンジェラを装った人物は喋り出す。
「ひとつ目、何が起こっているかについては見ての通り。停電よ。補足するなら、完璧なシステム管理のオイレンが停電してるってことはデルニックが機能してないってことね。ふたつ目、アンジェラならここに居るわ。今喋ってる私はアンジェラの体を乗っ取って好きにしてるだけ。」
とんでもない事を事も無げに言ってのける人物は、勿論拘束の手を緩めない。リンネは黙って女の言葉を聞く。
「みっつ目、私はね…お化けよ。名前はまだ決めてないわ。」
「…幽霊?」
リンネの呟きに、あら。と嬉しそうな声を上げる。
「良いかもしれないわね。雨の幽霊。」
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