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「うっ…」
アンジェラの二つの口から声が漏れる。
えずいた後、ぶぇええええっと、胃をひっくり返したようにアンジェラが吐瀉した。
「ぜひ…、ぜひ…」
ひきつった喘鳴を繰り返す。
「あ…、チクショウ…あのドクサレイカレ女…!」
「アンジー?」
「…リン…、…あーもー、サイアクだわ…」
(リンネにこんな醜態さらすなんて…)
呂律が危ういアンジェラを、リンネが抱き起こす。
「ごめんね。強い薬使ったから…」
「あやわることないわ。」
口が痺れて、上手く喋れない。
(父様に知らせなきゃ…)
くらくらする頭をアンジェラのは必死に回転させる。
「デルスニクもやられたみたい。オイレンは、停電しちゃってるの。」
リンネはアンジェラを支えながら言う。
「そうよ、あの女…とんでもないテロリストだわ。…ありがと、もう大丈夫よ。」
答えながら、アンジェラは乱暴に口許を拭う。
「…あいつの狙いはオイレン全部よ。それで何をしようって言うのかは解らないけど…デルスニクを破壊して、システム管理権限を奪ったどころかオイレンのメインサーバーにアクセスしてたもの。」
何にせよ、こんな乱暴な方法で事を起こそうとする奴の企てなんて、ろくな事でないのは確かだ。
「リンネ、リンネならこの暗闇でも動けるわよね?父様とアルタティマーナ研究棟長に何が起きてるか伝えてちょうだい。父様がこの状況を知れば何とかしてくれるわ。」
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