第一話

7/13
前へ
/28ページ
次へ
「うっ…」 アンジェラの二つの口から声が漏れる。 えずいた後、ぶぇええええっと、胃をひっくり返したようにアンジェラが吐瀉した。 「ぜひ…、ぜひ…」 ひきつった喘鳴を繰り返す。 「あ…、チクショウ…あのドクサレイカレ女…!」 「アンジー?」 「…リン…、…あーもー、サイアクだわ…」 (リンネにこんな醜態さらすなんて…) 呂律が危ういアンジェラを、リンネが抱き起こす。 「ごめんね。強い薬使ったから…」 「あやわることないわ。」 口が痺れて、上手く喋れない。 (父様に知らせなきゃ…) くらくらする頭をアンジェラのは必死に回転させる。 「デルスニクもやられたみたい。オイレンは、停電しちゃってるの。」 リンネはアンジェラを支えながら言う。 「そうよ、あの女…とんでもないテロリストだわ。…ありがと、もう大丈夫よ。」 答えながら、アンジェラは乱暴に口許を拭う。 「…あいつの狙いはオイレン全部よ。それで何をしようって言うのかは解らないけど…デルスニクを破壊して、システム管理権限を奪ったどころかオイレンのメインサーバーにアクセスしてたもの。」 何にせよ、こんな乱暴な方法で事を起こそうとする奴の企てなんて、ろくな事でないのは確かだ。 「リンネ、リンネならこの暗闇でも動けるわよね?父様とアルタティマーナ研究棟長に何が起きてるか伝えてちょうだい。父様がこの状況を知れば何とかしてくれるわ。」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加