Ø等星・再会

2/3
前へ
/33ページ
次へ
中に入って辺りを見渡すと、埃一つ落ちておらずピカピカだった。 俺が産まれる前からあるのに、どこも劣化していなかった。 「広すぎて迷子になりそうだな」 「凄い、学校ってこんなに広いんだね」 子供のようにはしゃぎ、廊下をスキップする未央。 気を付けないと転ぶよと愛救が言った瞬間。 目の前にいた人に気付かずぶつかって倒れる彼女。 「いってぇな、どこ見て歩いてんだてめぇ!!」 狼男のグレーのリーゼント頭が揺れる。 「ごっ、ごめんなさい」 涙目で謝り、立とうとするが腰が抜けて立てなかった未央。 「ごめんで済むと思っているのか!?」 狼男は爪を出していた。 俺は慌てて彼女の間に入る。 「彼女はちゃんと謝罪しました、手を出すのは違うと思います!」 「愛救君...」 「ヒーローぶりやがって、女に手を出さない代わりに俺と来い」 円形劇場(アンフィテアトルム)で勝負しようぜと言い、俺の首根っこを掴み引きずる。 「愛救君!!」 「大丈夫だよ、すぐ戻るから」 不安そうな彼女に笑顔で手を振るが、本当は俺も不安だった。 この狼男に何をされるか分からない、仲間がいてリンチされるかもしれないからだ。 でも後悔はしない、人を救う医者になる為。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加