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中に入って辺りを見渡すと、埃一つ落ちておらずピカピカだった。
俺が産まれる前からあるのに、どこも劣化していなかった。
「広すぎて迷子になりそうだな」
「凄い、学校ってこんなに広いんだね」
子供のようにはしゃぎ、廊下をスキップする未央。
気を付けないと転ぶよと愛救が言った瞬間。
目の前にいた人に気付かずぶつかって倒れる彼女。
「いってぇな、どこ見て歩いてんだてめぇ!!」
狼男のグレーのリーゼント頭が揺れる。
「ごっ、ごめんなさい」
涙目で謝り、立とうとするが腰が抜けて立てなかった未央。
「ごめんで済むと思っているのか!?」
狼男は爪を出していた。
俺は慌てて彼女の間に入る。
「彼女はちゃんと謝罪しました、手を出すのは違うと思います!」
「愛救君...」
「ヒーローぶりやがって、女に手を出さない代わりに俺と来い」
円形劇場で勝負しようぜと言い、俺の首根っこを掴み引きずる。
「愛救君!!」
「大丈夫だよ、すぐ戻るから」
不安そうな彼女に笑顔で手を振るが、本当は俺も不安だった。
この狼男に何をされるか分からない、仲間がいてリンチされるかもしれないからだ。
でも後悔はしない、人を救う医者になる為。
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