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プロローグ
「た、助けて……」
「グギギギギ…… 若い女の血は久しぶりだ」
鋭い4本の牙と真っ赤に光る眼、ニホンザルのような姿をしたそいつは、悪意に満ちた笑みを浮かべて怯える女性に襲い掛かろうとしていた。
2020年代の日本では「ソムリエ」と言う吸血モンスターによる凶悪事件に悩まされていた。深夜12時、俺はとあるビルの屋上で涼しい夜風に当たりながら街を見下ろしていると路地裏で、黒髪の女子大生が腰を抜かしながら涙を流して命乞いをしていた。
「へえ~ 今日も夜食を探す化け物を見つけちまったぜ」
俺はズボンのポケットから赤い液体の入った試験管を1本取り出すと。少し眉をひそめながら液体を見つめた。
「あまり、血液を飲むのは嫌いなんだよな。と言うか、血が苦手だ。でもこれを飲めば、新しい力を手に入れるには仕方ないか…… ええい!強くなるために力が欲しいんだ!」
俺は先日、討伐したソムリエから採取した血液が入った試験管の蓋を親指で弾いて開けると一気に青汁の様に血液を飲みほした。
ゴクゴク
「うええ~ こいつヘビースモーカーだな。タバコ臭くて不健康すぎるぜ」
顔をしかめた俺の身体を電磁波が包み込んだ。
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