第3話 動き出した大きな闇

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「そんな事よりも、とりあえず本題に入るわよ。何であなたをここに呼んだか? それと私達の目的を……」 パイプ椅子を逆に座りながら真剣な表情で話す紗菜を見て少し場の空気が緊張感に包まれた。 「私達は阿佐ヶ谷探偵社として事業者登録をして活動資金を稼ぐために、ソムリエ討伐や事件解決を行っているわ。但し脳力者だという素性を隠してね」 ソムリエハンターは近年、増加するソムリエによる凶悪犯罪を警察では対処できないためにハローワークを通じて依頼される案件を解決する民間人の事だ。 元々フリーターや格闘家、軍人など誰でも副業として行い、日本政府が副業推進の為に「ソムリエハンター活動法」を制定して支援している。 特に資格などはいらない。俺も小遣い稼ぎで指名手配ソムリエ討伐を行っている。 「でも何でお前たちは大々的に活動しているんだ?」 「私達は、施設やその関係者の手がかりを探すために活動しているの。私達がいた施設は全国に沢山あるわ。」 「少年院や養護学校、孤児院。更には刑務所もそうよ…… でもそれは表向き。全てとあるベンチャー製薬会社「パンドラ」が社会的に地位の低い人間に人体実験を行っていた「ゲノム研究所」が本当の正体よ」 俺がいた施設は氷山の一角だったなんて…… 話によると紗菜も陸も「施設の子」で運よく脱出できた所を、雪那さんに保護してもらい一緒に活動しているという。 「確かに施設の場所や大人たちの顔や名前をうまく思い出せない」 「それは奴らが都合の悪い情報を全て記憶操作しているからよ。元々「施設の子」と言うのは脳力素質のある子供たちを集めて脳力開花の訓練をさせるための養成所だったのよ。 でも私達は社会貢献のための特訓じゃなかった…… 人体実験のモルモットもしくは化け物の餌だったのよ」 「すべてはその会社のせいで俺の妹は……」
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