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俺の心臓は止まりそうだった。奴の背中から妙な殺意と窓に当ててる手に力が入る。
「俺何も言ってないよ」
「ふ、ふふふふ。そうだよな。ごめんごめん。だってお前は手配中の脳力者なんだもんな?」
振り向いた奴の顔は悪意に満ちた笑みをして目からは殺意を感じていた。すると奴は左側にあるベンチを顎でくいっとしゃくり上げたので視線を向けると
「水使いの奴」
「ソムリエの餌にしてやった。残念だが全てお前らの行動は解っていた。ノブには悪いがこいつはおとりだ。それにサヤカって言うのも偽名を使って試したんだ」
「バレちゃ仕方ねえな」
俺は元の姿に戻って奴との距離を取った。
「今頃、お前の仲間はそのソムリエに殺されていることだぜ」
「ふふふ、あのバカ女は直ぐにやられないぜ。その前に俺がお前を倒すかもな」
俺は隠し持っていた水の入ったペットボトルを取り出し、左の人差し指から血を1滴たらすと噴水のように勢いよくボトルから飛び出し大蛇のような姿になった。
だが奴は何故だか余裕の笑みを浮かべやがる。
「残念だったな。俺も同じ水の脳力使いだ」
「何……⁉」
血液を混ぜた薄い赤色に染まるペットボトルに入っている水が一気に噴き出すと俺の水蛇よりも3倍ほど大きい赤い竜のような奴が現れた。
「水の脳力は俺が本家だ。ノブに分けてやっただけだ」
「へへへ、こりゃあ面白くなってきたぜ」
「さあ、始めようか!」
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