偽りの自分

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偽りの自分

真面目で大人しくて人見知り。 友達も多い方ではない。 佐藤 優莉 はそんな女の子だった。 人の目を気にしていい子を演じる毎日。 自分の意見なんて言えない。 家族にすら、弱い姿を見せたくなかった。 小学生の頃から、親やおじいちゃんおばあちゃんの喜ぶ道を選び 親に背いた事なんてなかった。勿論学校の先生にも。 反抗期も、反抗心はあっても反抗なんてしなかった。 "優等生"を演じていた。 なぜそんな子どもだったのか、自分でもわからない。 親や周りの人たちを悲しませたくない気持ちは間違いなくあった。 親が特別厳しかったわけではない。 普通のサラリーマンの家庭に生まれ、両親もいて、恵まれた環境で育った。 でも羨ましかった。 自由に生きている友達が。 私だって自由だったはずだけど、自分で自分の自由を奪っていた。 のびのびと楽しそうに自分らしく生きる友達は、皆に好かれ慕われ、先生に怒られることもあったけど、先生からも可愛がられていた。 私もそうなりたいと思ってはいたけど、自分のつくった殻が本当の私を閉じ込めた。 それに怖かった。 誰かに嫌われることが。 誰かを悲しませることが。
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