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高校に入学した私は、"優等生"を演じるのに限界を感じるようになった。
授業についていけない。
もともと秀才ではない私がここまでこれたのは、自分のつくった殻を守るため。
背伸びし続けてここまできてしまった。
大好きだった数学も理科も大嫌いになった。
得意科目が何一つない落ちこぼれ。
成績は悪いけど、素行だけは優等生。
頑張ってるふりをするようになった。
頑張りたくても授業が分からなすぎて頑張れなかった。
でも夢だけはでかい。
病理医なんて夢のまた夢。
それでももう後戻りはできない。
辛い高校生活だった。
友達と遊んだ記憶なんてない。
そもそも、こんな私に親友と呼べる友達はいたのだろうか?
私は空気みたいな存在。自分でそう思っていた。
そんな私が、はじめて周りの流れに逆らった行動をとった事があった。
1年の時に同じクラスで一番仲の良かった友達が、2年になりクラスが離れて、暫くして不登校になったのだ。
隣のクラスは個性の強い、イケイケ女子が多くて、孤立してしまったらしい。
いじめではないが、いじめの様な状態だ。
連絡して説得して学校に来ても、クラスが別だから結局辛い思いをさせた。
担任教師の説得で保健室登校をするようになった彼女の所に、毎日昼休みに自分のお弁当を持って通った。
周りは私に言う。
「何でそこまでするの?」
友達だから。
それ以上の理由が必要なのか?
今まで波風立てない様な行動しか取れなかった私がここまでするなんて、自分でも驚きだった。
でも、これだけは、やめちゃいけないと思っていた。
この手は離しちゃいけない。
昼休みに消える私も、はじめは孤立しかけていたけど、時間が解決した。
3年になって、私と彼女は同じクラスになった。
ちゃんと教室に登校するという約束で。
成績不良な私が、高校に入って唯一教師に頼られた。
私は誰なんだろう。
私はなんのために生まれてきて、なんのために生きているんだろう。
本当の私ってなんだろう。
心が成長すればするほど、そんな疑問が膨らむようになっていた。
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