“先生”だったあなたとの物語

最初

　ねぇ、覚えてる？
　あなたと初めて会ったのは私が高３になったばかりの４月の教室。
　教室のど真ん中、前から２番目の席で私はあなたを見上げていた。

「23歳のイケメンだって！」

　そんな前情報のせいで入ってきたあなたを見たみんなはがっかり。
　正直笑いを堪えるのに必死だった。
　若いことさえ怪しいと思ったその第一印象。

「先生、32くらい？」
「反対！23です」

　笑いながら聞いてみた返答にクラス中が「えー!!」と疑いの声をあげる。
　イケメンの多いこの学校に来たなんて……気の毒に。
　笑えて机に突っ伏すと、自己紹介が始まって私はダルさを感じて目を閉じた。