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合格発表
受験を終えても不安で勉強は続けていた。
「尋!俺は会議行くから!お前も早く帰って結果見ろよ!」
先生が出て行くと、あなたは振り返って歩いてくる。
「……だそうだけど?帰らないの?」
イスに座ったままあなたを見ると、あなたは微笑んで私の頭に手をついた。
「ご褒美あげられないよ?」
「……」
「ね?一緒に帰ろうか 」
そんな満面の笑みにドキッとする。
「うーん……仕方ないなぁ」
ちょっと笑うとあなたは自分の席に戻って行った。
帰らないといけないことはわかる。でも、結果を見るのが怖い。
「はい、これ」
言われて顔を上げると、向かいの席から身を乗り出したあなたが私の目の前にメモ用紙を出していた。
「……何?」
とりあえず受け取ると
「俺の番号」
あなたはニッと笑ってカバンを肩にかける。
「よっし!帰るぞ!」
ねぇ、今日は敬語じゃないじゃん。
何で?
聞いたらあなたは答えてくれるの?
手にあるメモ用紙をギュッと握って私はその後ろ姿を見つめた。
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