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素
次の日、登校すると社会科準備室の前で腕を組んで壁にもたれかかっていたあなた。
「あ、おはよう」
「……他に言うことは?」
「え?」
一切笑っていないあなたに戸惑う。
「受かったの?」
「あ、うん。お陰様で……」
答えるとあなたは一気に脱力してしゃがみ込んだ。
「え?」
「電話こねぇし、落ちたのか?って心配したんだぞ」
「何か口調違う」
顔を上げたあなたを見て笑うと
「んなもん構ってられるか」
あなたは真剣な顔をして立ち上がった。
「……そんな心配したの?」
「当たり前だろ」
ちょっとムッとしているのに嬉しいのは……。
ねぇ、そんな口調も気にしていられない程心配してくれたの?
「……ご褒美いらねぇの?」
上から聞こえてくる声に顔を上げると、あなたはじっとこっちを見下ろしていた。
「番号くれたこと……じゃないの?」
「それでいいならそうするか?使わなかったけどな」
何?もう素で居てくれるの?
全然丁寧じゃないそのぶっきら棒な言い方も嬉しくなる。
「ヤダ!何くれるの?」
慌ててあなたの腕を掴むと、あなたはフッと笑った。
「ドライブ行くか?」
「……え?」
「嫌ならいいけど」
「行く!!」
ちょっと口を尖らせたあなたに慌てて返事をする。
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