体育祭

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小学4年生の時だった。運動会が始まる4週間程前に時を遡ろう。 朝の朝礼で「今月末はいよいよ運動会です。」と担任の先生が話す。「運動会までリレーや学年毎に行われるダンスを練習していきます。体育の時間に練習していきますよ。」と先生が話す。「リレーは全員参加になるので、皆、頑張ろうね。」と先生は笑顔で話す。「1時間目は体育だから、全員着替えて運動場に集合してね。」と先生は教室を出て行く。 「咲紀ちゃん、運動会楽しみだね。」 「そうだね。今年のダンスって、今流行ってる曲使うみたいだから、楽しいかも。」 身体を動かすことが好きな咲紀は流行りの曲を使ってダンスができることが楽しみだった。咲紀はわくわくした。瞬は身体を動かすことは得意ではなかったが、咲 紀と一緒に何かできると思うと嬉しかった。 ピー。 先生が笛を吹いて、先生の前に児童を集める。「今日は徒競走とダンスの練習をします。」と先生は言う。 先生は走るまでの注意事項を言った。「それでは実際に走って見ましょう。」と児童を何人かに分ける。咲紀と瞬は別々になってしまった。 瞬が先に走ることになった。瞬はスタートラインに立つ。先生が「位置について。よーい。」と言って、「どーん。」と言った後、瞬は走って行った。本番同様に「瞬ちゃん頑張れー!」と大声で応援する。 半周走ったら、ゴールになる。瞬は最後のゴールだった。瞬はゴールの場所からスタート地点に戻って来て、「ビリだったよ。」と肩で息をしながら話す。 「でも瞬ちゃん頑張ってたよ。」 「咲紀ちゃんが応援してくれたから、頑張らなきゃって。ビリだったけどね。」 瞬は残念そうに言う。 「でも、頑張って走ろうとする瞬ちゃん、かっこよかったよ。」 咲紀は微笑む。 「咲紀ちゃん…。ありがとう。」 瞬は照れたように微笑む。「次は咲紀ちゃんの番だね。頑張って。」と笑顔で送り出す。「うん。頑張る。」と言ってスタートラインに立つ。 「位置について。よーい。どーん。」と先生が言い、咲紀は走り出す。「咲紀ちゃん!頑張れー!」と瞬は声援を送る。咲紀は最初は先頭を走ってたが、追い抜かれてしまい、ゴールすると、2着だった。咲紀はゴールからスタート地点まで戻る。 「咲紀ちゃん。すっごくすっごくかっこよかったよっ。」 瞬は興奮しながら話す。 「でも2位だったよ。1位が良かったのに。」 咲紀は悔しそうに話す。 「僕が咲紀ちゃんが1位になれるようにお弁当作ってあげる。」 「本当?嬉しい。」 咲紀は嬉しそうに笑った。 次の体育の時間。リレーと徒競走の練習をする。咲紀は「あれ?」と思いながら、練習を重ねて行く。 そしてまた次の体育の時間。徒競走とダンスの練習をする。徒競走の練習で何度走っても2位止まりで、咲紀はだんだんフラストレーションが溜まっていく。 ダンスの練習をしても、2位だったことを思い出し、落ち込む。瞬は心配そうに声をかけるが、「大丈夫だよ。」と咲紀は無理やり笑顔を作る。
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