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仮装コンテストが始まる前に先生と体育委員が更衣室から入場門までの間を黒い布と衝立を使い周りからの視線を遮断する。
「ただいまから仮装コンテストを始めます。」
アナウンスが流れる。
進行役の体育委員2人がマイクを持って場を盛り上げる。
「参加者の皆さんがランウェイをします。大きな手拍子で盛り上げて下さい。」
拍手が起こる。
「ありがとうございます。その調子でお願いします。」
女の子の先輩の体育委員が言う。
「それでは早速始めましょう。」
男の子の先輩の体育委員が言う。
「エントリーNo.1、貴様の血は俺が吸ってやる。覚悟しろ。ヴァンパイア、橋本優貴君。」
音楽が流れ、出場者が出て行く。中央にはコンテスト用のステージがある。観客という名の保護者と生徒に手を振りながら、トラックを一周し、ステージまで行き、四方向それぞれにポーズを決める。最後に親指で唇をなぞる。すると、女の子達が「きゃあ!」と黄色い声を出す。
「橋本優貴君。ありがとうございました。大きな拍手を!」
橋本優貴は手を振りながら、退場門へと向かう。
「エントリーNo.2、お帰りなさいませ。ご主人様。メイド、間宮ありすさん。」
小走りしながら、手を振り、くるりと1回転して、また手を振る。トラックを一周してステージに立ち、四方向にポーズする。胸の前でハートを作り首を傾げて片足を上げる。「俺のアリスちゃーん!」「萌え萌えー!」と男の子達の声が聞こえる。女の子からは「ありすちゃん!可愛いっ!」と声が聞こえる。
「間宮ありすさん。ありがとうございました。大きな拍手を!」
「エントリーNo.3…、」と続いていく。「執事」、「警察官」、「医者」、「看護師」、「力士」、「巫女」、「パティシエール」、「マヨネーズ」、「海女」、「漁師」、「幼稚園児」、「アイドル」、「80年代アイドル」、「ヒーロー」等と定番コスプレやウケ狙いのコスプレもあった。
いよいよ咲紀の番になる。
今まで鳴っていた音楽が突然消える。
「いよいよラストです。エントリーNo.24。私の心は貴方のモノ。添い遂げてみせます。花嫁、中嶋咲紀さん。」
そしてバラードの有名な洋楽が流れる。
入場門の黒幕が開かれる。周りがシーンとしている。雛に付き添われて歩き出す。遠くの方で紀明が立っている。
「パパ?」
咲紀は頭に疑問符を浮かべている。
ここまでにどうして紀明がそこに立っているのか立花と雛が計画立てたところから遡る必要がある。
雛と立花は体育祭が始まる前、和希、凛、晴人、慎を呼び出した。
「あのね、咲紀が仮装コンテストに出るのよ。」
「そうなんだ。それで?」
凛は言う。
「咲紀と瞬を驚かせたいのよ。あの2人、じれったいから。本当は手を出したくはないんだけど、仮装コンテストを利用して告白させようかと。」
「驚かせるって具体的にはどうするの?」
晴人が眼鏡をクイッと押し上げる。
「咲紀ちゃんにウエディングドレスを着てもらって、瞬にはタキシードっての?を着てもらう。」
「なるほど。結婚式みたいな?」
慎が納得したような表情を浮かべて言う。
「そう、それよ。」
「面白そう。乗った。」
和希が言うと、凛も晴人も慎も乗った。
「衣装は私と立花が用意するわ。」
「俺は牧師やる。」
和希が手を挙げる。
「僕は進行役に話を通すね。」
晴人が手を挙げる。
「俺は音源とか担当しよっかな。」
凛は言う。
「僕は中嶋さんのお父さんを説得する。」
慎が手を挙げる。
「決まったね。」
「各自準備をよろしく。」と解散になった。
体育祭当日、立花達は早く大学の運動場に着いて準備をする。
立花は瞬の衣装を仮装コンテストに使う仮設の更衣室に置いた。ブートニアとブーケ、あるものを放送席の日陰に置いた。
凛は咲紀達の結婚式に使う音源を放送席に置いた。
そして体育祭が始まった。
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