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和希は隣のクラスの親友、田宮凛のところに行く。
「凛。いよいよだぜ。放送部、頼んだぞ。あと、段通りを周りに伝えて。」
「任せろ。前々から準備は進めて来たから。同じクラスの放送部の子にも1枚噛んでもらってる。」
「それは助かる。じゃあ俺、そろそろ行くわ。」
そう言って行動に移す。
和希は鞄を持って、木陰に行き、周囲を見渡し、誰にも見られていないことを確認する。
鞄の中から牧師の衣装を取り出し、袖を通す。白い詰め襟のシャツにスーツ。海外の大学の卒業式で見るような黒いガウンを羽織る。
新郎新婦ならぬ彼氏彼女に問いかける宣誓文を持つ。牧師役の和希が立つ台は、仮装コンテストで使うステージを使うので、咲紀の番になるまでスムーズに行動に移せるようイメージトレーニングをする。
放送席に行き、凛と合流する。
和希と分かれたあと、凛はまず自分のクラスの子に段通りを伝える。
「皆。聞いてくれる?仮装コンテストの時なんだけど…。」
凛は説明していく。
「隣のクラスの中嶋咲紀さん、仮装コンテスト、最後になるんだけど、中嶋咲紀さんの出番がくるまで、少し準備が必要なんだ。準備をしている間、騒がないで欲しいんだ。サプライズ演出があって。静かに待っていて欲しい。始まっても静かに見守ってくれていたらありがたいです。」
「分かったよ。何かよく分からないけど、協力する。」
クラスメイトの1人が言う。凛は理解を示してもらえて安堵した。
「分かったら、隣のクラスに伝えてください。全生徒だからね。」
「了解。」
そう言って、放送席に行く。
凛は放送席に行き、計画に協力してもらっているクラスメイトを探す。
放送席のクラスメイトに打ち合わせ通り準備してもらっているか確認する。
「前に言った通り、放送部の子にも伝わってるよね?」
「ばっちりだよ。」
クラスメイトの女の子が親指を立てる。
「良かった。俺もここに残るから。」
凛はその場に残る。
「中嶋さんの前の子が終わったあと、進行は俺が進めるから。進行役の体育委員にも伝わってるはずだから。」
「分かった。都度流す曲とかの合図はしてくれるんだよね?」
「合図する。」
「了解。」
そう言って使う曲を視聴し、咲紀の順番まで準備をしていく。
晴人は仮装コンテストの進行の体育委員の先輩の女の子に声をかける。
「あの。すみません。」
「どうかした?」
「中嶋咲紀の順番を1番最後にしてもらえませんか?」
「あぁ、ちょっと待って。そもそもの順番を確認するわ。えーと。中嶋咲紀さんね。」と先輩はリストから咲紀の名前を探す。「中嶋、中嶋、」と言いながら、リストの上から指でなぞる。
「あったよ。10番目だ。最後に回したらいいのね?」
「はい。よろしくお願いします。」
晴人は頭を下げる。
「ねぇ。何かあるの?」
「それはですね…。」
晴人は話していく。
「同じクラスの広瀬君、借り物競争で、好きな子、を引き当てた男の子なんですけど、長年想いを寄せてる女の子に気持ちを伝えて。その女の子から返事待ちで。当初は2人にサプライズで想いを伝え合ってもらおうと計画を立てていたんですが、広瀬君、中嶋咲紀さんに想いを伝えたんです。だから、中嶋さんにサプライズで仮初めの結婚式をして、改めて、広瀬君に想いを伝えてもらおうという計画なんです。協力していただけませんか?」
「そうなんだね。面白そう。分かった。協力する。何をすればいい?」
「中嶋さんの番まで進行通りに進めてもらってかまいません。中嶋さんの前の子が終わるまで進行をお願いします。そのあと、ただいまからエキシビジョンを始めます、参加者は準備をしてください、と進行してください。そのあとに放送席にいる別の役割のある子が進行してくれます。」
「分かった。もう1人の進行役にも伝えておく。」
「よろしくお願いします。」
晴人は頭を下げた。
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