死のサイレン

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死のサイレン

#1  サイレンが、鳴っている。  サイレンが、けたたましく鳴っている。  サイレンの音は、シとソの音階だ。  自分が乗った救急車からサイレンが鳴っているんだということが、今ひとつしっくりこない。  緊急を要するほど苦しんではいないからかもしれない。それでも医者の判断では、僕は一刻も争う状態なのだ。  心筋梗塞。  これが、18歳の僕に下された病名だ。    手遅れになれば、即、死。  胸の痛みは1週間前からあった。  胸が痛いなんて経験はしたことは無かったので、嫌な感じだなとは思っていた。  ネットで調べると、逆流性食道炎に近い症状だったので、母に頼んでドラッグストアでそれ用の薬を買って来てもらって飲んだ。  しかし、痛みはさらにひどくなった、  今日、体育の時間、あまりに痛くて前屈みにしゃがみこんでしまったことが、救急車要請となった。  診断は早かった。  心電図とレントゲン、採血のすべてが、心筋梗塞を指していた。  そして、5月25日の今日、僕は人生初の救急車に乗っている。  それは、18歳の僕の誕生日でもあった。
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