第九章-α 『黒銀の決戦』

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「……」 斬江から真緒さんとの愛を証明しろと命じられ、斬江が準備をするからと真緒さんと共に別室へと移動してから……どれくらいの時間が経過したのだろうか。 二人がいなくなってからの俺は、斬江から言われた通りにパンツ一丁だけとなり……二人が寝室に帰ってくるのを待ち続けていた。 ……こうして待ち続けている間に、シャワーぐらいは浴びれなかったであろうか。 真緒さんは既にお風呂に入られたかもしれないが、俺はまだ入っていない……二人がいなくなる前に、風呂に入る許可を斬江から貰えば良かったか。 その過去からやってくる失敗に足を取られている一方で……未来からの本番中に、真緒さんを愛しているというアピールを、上手く斬江に伝える事が出来るのかという不安と緊張に首を絞められる。 独りになった事で思考が冴え……そんなマイナスな気持ちがポンポンと脳内で浮かび上がってくる。 真緒さんとセックスが出来る……その期待が脳内で占めている思考の割合は、僅か一割程で楽しみに思える事が出来ない。 いや勿論楽しみだし、嬉しいのだが……その気持ちだけで腰を振り、ただ己自身の欲望が満たせればいいという訳では無い。 今回は真緒さんの事は勿論、それらをこれから観る斬江の事も満足させなければいけないのだから。 とりあえず結果はどうあれ、本番は真緒さんの心の状態に合わせて進行をしていくようにしよう……作戦が決まった事により、少しだけだが余裕が生まれた。 ……その時。 「はぁいお待たせ〜、準備が出来たわぁ」 斬江が寝室へと帰ってきて、ダブルベッドの前にある椅子へと腰掛けた。 準備が出来たと言ったが、今寝室に戻ってきたのは斬江だけである。 「あの、真緒さんは……」 「真緒ちゃんには心の準備が出来たら、部屋に戻っておいでってだけ伝えておいたわ」 「凄い恥ずかしがってたけど、嫌そうな感じでは無かったから直ぐに来るわよ」 「……なるほど」 恥ずかしがっているなら真緒さんの身体を押して、無理矢理にでも部屋まで連れて行きそうなのが斬江だが……今回はそうでは無く、斬江は真緒さんに猶予を与えた。 例え恥ずかしくても、この後乱れる姿を第三者から見られる事になったとしても……俺との愛を証明する為に、真緒さんは絶対にここへ戻ってくる。 俺がそう信じている一方で……斬江もまた、そうして真緒さんの事を信じているという事だろう。 「……!」 「……来たわね」 ……それから寝室の扉へ近付く足音が聞こえてきた。 焦っている訳では無く落ち着いている……しかし、本当は嫌がっているのかもしれないとも捉えられる、真緒さんのゆっくりな足音。 そしてそれは扉の前で立ち止まり……扉を開けて、真緒さんが姿を現す━━ 「……!?」 ……しかし、そこにいたのは紺色のパジャマを着ている真緒さんでは無かった。 白いレース生地の、ノースリーブ型のワンピース……しかも真緒さんの白い肌と同化していると思いきや、その素材は透過している素材で出来ていた。 なので真緒さんのスレンダーな体型が丸分かり……それだけでは無く、下は何も身につけていないので……乳首や陰毛なども透けて見えてしまっているのだ。 「……っ」 勿論これは真緒さんの意思では無く、斬江の手で施された装いであろうが……髪を下ろして、頬を艶めかしく染めている今の彼女は、正しく女そのものであった。 「斬江さん、これは……!」 「ふふっ、真緒ちゃんエッチでしょう……折角するんだったら、一番綺麗な格好でしたいものね」 斬江はそう言いながら真緒さんの元へ向かい、後ろから彼女の両肩に手を置いた。 「あの、姐さん……それならいっそ全裸でいた方が……」 「あらよく似合ってるわよ真緒ちゃん、ただ裸でいればいいって訳じゃないの……少しだけ見えてるって言うのが、一番相手を興奮させるんだから」 「……」 そうなのか? と聞いているような表情で、自信が無さそうに俺を見た真緒さん…… 「……っ」 実際……斬江が言っている通り、綺麗さと妖艶さが混ざっている今の真緒さんから……目が離せない。 これが斬江の言った雰囲気作りという奴か…… 俺から全てを見られて、真緒さんも俺の股間に注目しながら、恥ずかしそうに目を細めている。 しかしここに来るだけの気力があるならば、既に真緒さんの覚悟は出来ているという事であろう……それから斬江は、そんな真緒さんの事を押しながら俺の元へと近付かせた。 「……大和の方は、もう準備は出来てる?」 「ああ、はい……」 「じゃあ後は任せるわよ」 「はい……」 そうして斬江は、またベッド前の椅子へと戻って腰掛けた。 「貴方達のタイミングで始めていいからね〜」 「……」 「……」 相変わらずそっぽを向いている真緒さん……。 嫌がっているのだけは無いと思うのだが……やはり緊張と恥ずかしさでその場から動けないといった感じだ。 「……すまないな、大和」 ここは俺がリードしていかなければ……そう思って真緒さんに近付こうとした瞬間、先に真緒さんの方から俺に話しかけてきた。 「この服装では……今の私は、痴女にしか見えないであろう?」 「そんな事無いです……今の真緒さん、本当にとてもお綺麗ですから……」 「そうか……興奮も、しているのか……?」 「……はい、正直に言ってしまうと……しています」 「……そうか」 そうして真緒さんの方から近付いてきて、俺の腰に手を当ててきた。 「私を……抱きたいと思っているのか?」 「……はい」 「そうか……準備は万端なようだな」 「真緒さんの方は……どうですか?」 「私は……まだ少し恥ずかしい」 「……ならば、無理はなさらずに」 「いや……始めても構わん」 「……本当ですか?」 「あぁ……これからしていく中で、お前が私をその気にさせてくれ」 「真緒さん……結構な無茶を仰いますね」 「そういう訳では無い……私は、お前の腕を信じているのだ」 「お前はその……痛くないし、上手だから……」 「激しくされても……多少は構わん……」 「真緒さん……」 腕、胸、腹……そうして真緒さんは、徐々に俺の身体に触れている部位を増やしていく…… 心の準備関係無く、真緒さんは身も心も俺に委ねようとしているのを感じた。 恥ずかしくても……懸命に俺を誘っている真緒さんの姿が可愛くて、俺は彼女の頬を撫でながら視線を合わせた。 横から斬江の視線も感じるが……これなら真緒さんと二人きりの世界で夜伽を行えそうだ。 「いつでもこい……大和」 「……キスからで、大丈夫ですか?」 「ああ……」 そうして真緒さんは目を閉じて……いつでも始められる体制に入った。 後は俺がキスをすれば……真緒さんとの性行為がスタートされる。 彼女がその気であるならば、これ以上待たせる訳にもいかない。 「っ……」 「ん……」 ……早速真緒さんに顔を近付かせて、キスを行う。 「はっ……ふっ……」 「んっ……ん……」 唇が触れた刹那、真緒さんの唇を舌で開けて、真緒さんの舌を捕える。 真緒さんと舌を絡め合い……真緒さんの方も嫌がる事無く、俺からの舌責めを受け入れて、自身からも舌を押し付けてきたり唾液を送っていたりしていた。 「んっ……ふ……」 「んんっ……」 「……」 そして立ちながら真緒さんとディープキスをしている姿を、斬江は指を顎に当てたまま真剣な表情で観察し続けている。 何かを不満に思っていそうな、言いたげな表情では無い……本当に斬江は、互いが絶頂するまでの様を見届けようというのか。 「……ぷはっ」 「はぁ……はぁ……」 ダメだ……斬江の事など構っていられない、今は真緒さんの事に集中をしなければ。 キスしている間も、斬江からの視線が気になって仕方が無い。 「はぁ……っは……」 だがキスを終えて切ない表情で息を上げている真緒さん……それを見て、再度真緒さんとの世界に入り込まれていく。 「真緒さん……」 「やま……と……?」 「本当に……綺麗でエッチな格好をしていますね……」 「んんっ……」 それから真緒さんの透けている両乳首に、レースを挟んで両親指をそれぞれに乗せてみる。 そして乳輪になぞって、乳首にも触れながら親指を回していく……。 「真緒さん……乳首が硬いですね……」 「んっ……!」 「キスだけで……もう興奮をされたのですか……?」 「あのようにキスをされれば……ん、誰だって興奮はするわ……」 「全然興味が無い相手からされれば、むしろ不快感に感じるものです……真緒さん、本当に俺の事を信じてくださっているのですね……」 「それは……お前の事は……ん、好き……だし……っ」 「……お前の方がここを硬くしているのは、女の乳首に触れているからか?」 「ん……真緒さん」 ……このまま一方的に責められている訳にはいかない。 そう思わせるように、真緒さんは俺のパンツの膨らんでいる部分にそっと触れてきた。 「それとも私の乳首に触れているから、興奮しているのか……?」 「そんな……真緒さんだからに決まっていますよ。おっぱいが付いていれば何でもいい訳ではありません……っ」 「本当か……?」 「はい……それに真緒さんに触れられて……気持ちいい……ですし……っ」 「ふむ……そうか……」 すると真緒さんは、その一言で自信をつけたかの如く…… 彼女は俺が真緒さんを脱がすよりも先に、俺のパンツを降ろした後、いち早く肉棒を逆手で握ってきた。 「まっ、真緒さん……」 「痛く、無いのか……」 「はい……気持ちいいです……」 「そうか……」 触れれば触れる程に硬くなっていく様を、面白がるように触れ続ける真緒さん。 このまま負ける訳にはいかない……。 「……ぁ」 俺はすかさず、真緒さんのレーススカートをたくし上げて……こちらも透けている陰毛の奥に手を入れた。 それと同時に、真緒さんは声を漏らして大人しくなる。 「……濡れていますね」 「それはそうだ……興奮、しているのだからな……」 「この音、聞こえますか……クチュクチュ言ってますよね……」 「っ……そう言うのは……やめろ……っ」 真緒さんは肉棒に触れていても、俺は真緒さんの乳首と膣内を責めている。 お互いに快感を与え合っている現状……再び俺の方が優位に立ったのを感じた。 「あっ……あ……」 責めれば責めるほど、真緒さんの苦しそうな息も喘いでいる声へと変わっていく……。 こうして立ったまま絶頂を迎えさせても良いか……真緒さんの喘ぎ声がもっと聞きたくて、責めを続けていると…… 「ま、まてっ……」 突如真緒さんは、彼女の陰部を責めている方の俺の腕を掴んで、中止を求めてきた。 「……真緒さん?」 「……このまま、私の方が一方的に責められるのは好かん」 「これではクリスマスの時と一緒だ……私も、お前の事を責めたいのだ」 「あ……すみません……」 ……ただ真緒さんを気持ちよくさせればいいという訳では無い。 真緒さんは俺からの愛を受け入れるだけで無く、自身からも俺に愛を発信させたかったという事か。 その指摘を聞いて、斬江の顔が厳しくなる……真緒さんのその気持ちに気がつけなかったという事で、斬江から減点を喰らってしまったような気分になった。 「……あ、別に謝って欲しくて言った訳では無い……お前からの愛は、充分に伝わってくるしな」 「大和のモノには既に触れていたし、責めもしていた……私の方が押されてしまうのは、私の責め方が下手なだけ……だよな」 「そんな事は……」 「……そこで、何だが」 「……何ですか?」 「シックスナインというものを……試してみたいのだ」 「……シックスナインですか」 「私がそういう事を言うのは意外だといった顔をしているなお前……」 「!……いえ、そのような事は」 「……私もあれから、少しずつ勉強をしているのだ」 シックスナイン……それは六十九の数字の如く片方が逆さまになり、お互いの性器を口で刺激する体位の事だ。 フェラチオや手淫など一方的な物とは違う……これならどちらも公平に、快感度のゲージを上げていけれそうだ。 「それなら……私も上手くお前を責められると思う」 「……分かりました」 それから真緒さんの手を取りながら、俺達はダブルベッドの上に乗った。 行為中は上の者が下の者に体重をかける事になる為……真緒さんの体重を支えられる、男である俺が下になる。 「……」 斬江に背中を向けながら寝転がる……後は真緒さんが俺の上に逆さまに乗ればいいだけだ。 「……失礼するぞ」 「はい……」 それから真緒さんは、こちらにお尻を向けながら俺の上に乗ってきた。 そして真緒さんは膝立ちのまま、その場で静止した……まだ完全に密着している訳では無いのだが、既に真緒さんの陰花の中が丸見えだ。 「絶景ですよ真緒さん……全部見えます……」 「っ……恥ずかしい事を言ってくれるな……お前も、先程から萎える事を知らんな」 「真緒さんがエッチだからですよ……これから気持ちよくエッチが出来るように、真緒さんの膣内を慣らしてあげますから……」 「私も負けんぞ……挿入する精気が無くなる程に、搾り尽くしてくれる」 「っ……」 そうして下半身から、真緒さんが肉棒を咥えたのだという感触が伝わってきた。 「っ……ふっ……」 ふと下に目をやると、俺の肉棒を咥えながら必死に上下に動かしている真緒さんの顎が見える。 それと共にたっぷたっぷと揺れる胸……今まで責められた分、真緒さんは取り返そうとしているのだろう。 おまけに愛液が陰花から漏れて、臍の方につたっている様を見て……我慢出来ない筈が無い。 「……真緒さんばかりずるいですよ」 「んんっ……!」 それから膝立ちで遠ざかっていた、真緒さんのお尻を掴んで、そのまま口元の方に寄せさせた。 密着をすれば、俺に体重と負担がかかってしまう……その気遣いが出来る程の余裕を無くさせるぐらいに、真緒さんの蜜花を味わっていく。 「真緒さん……っ、良いですよ、愛液がどんどん溢れてきます……それにとてもいい匂いです……」 「んんっ……! 嗅ぐなぁ……!」 「もっと遠慮なさらずに……おまんこを擦り付けてきてください……」 「そんな……んっ、犬みたいな事が出来るか……!」 「力を抜いて……俺の舌に全てを委ねてください……」 「く……うぅっ……!」 それから俺の手に反発しようとする、真緒さんのお尻の力が徐々に抜けていく…… それからぺたんと俺の口元を抑えつけると……そのまま時節ぶるぶると痙攣しながら、俺からの責めを受け入れ始めるようになった。 「あっ……あああ……っ」 「ふっ……は……っ……」 「やっ……あぁっ……!」 痙攣する度に、真緒さんのお尻の肉が震えるのを感じた……。 それによって真緒さんの膣内の味、匂い、温かさを感じながら……呼吸する事も忘れて、真緒さんに口淫を行い続ける。 「くっ……ううっ……!」 「……!」 「負けて……っ、たまるか……!」 「!!」 しかし真緒さんも、俺からの責めに負けじとフェラを行い続ける。 表情が見えないのをいい事に、ジュポジュポと下品な音を立てながら顎を動かし続ける真緒さん……。 そこから急激に、射精に近付くトリガーが引かれたような気がした……真緒さんも絶頂寸前、そろそろ同時にイク準備に入っても良さそうだ。 「真緒さん……っ、そろそろイキそうです……お顔を汚してしまう事になるかもしれないですが、大丈夫ですか……?」 「ああ……いいぞ……んっ、全部口の中で……受け止めてやる、から……」 「真緒さんの方も……イカせちゃって大丈夫ですか……?」 「うむ……先程から焦らされて、子宮が疼いて構わん……早く、楽にしてやってくれ……っ……」 「……分かりました」 ……それから会話を終えて、俺達は再び夢中で互いの性器を舐め合った。 「んふっ……んんっ、んむっ……」 「はっ、はぁっ……んっ……」 股間の奥底から熱が混み上がろうとしているのを感じる……しかし真緒さんが絶頂を迎えるまで、射精をする訳にはいかない。 「……」 どうせなら同時イキで……真緒さんと共に絶頂を迎えて、真緒さんと共に斬江から見られている羞恥心を味わいたい。 ……そして━━ 「んんっ……んんぅ……!」 「ああっ……!!」 「んんぅ〜っ……!!」 真緒さんが絶頂を迎えると共に、俺も力んでいた尻の力を解放した。 ぷしゅっ、ぷしゅっと尻を痙攣させて愛液を噴出させる真緒さん……俺がそれを口で舐め取っていると同時に、彼女も肉棒からの射精を受け止めていた。 「んんっ……っく、はぁ……はぁ……」 「……真緒さん?」 ……それからシックスナインを終えて、真緒さんはベッドへ力が抜けたように寝転んだ。 「はぁ……はぁ……っ……はぁ……」 「まさか……飲み込んだのですか……!?」 「?……私は何か不味い事でもしたのか?」 「いえ……そういう訳では無いのですが、苦いかなって」 「ああ……それなら心配はいらないさ。確かに苦いが……大和の精液なら飲める」 「真緒さん……」 「……それよりも、準備が整ったぞ」 「えっ……?」 それから真緒さんは唇から垂れた精液を指で拭った後……起き上がった俺の元に擦り寄ってきた。 「今……もの凄く大和とエッチがしたい……これが、子孫を残す為に必要な発情という気持ちなのか……」 「真緒さん……」 「お前も……射精しても尚、元気だという事は……私と今すぐにでも繋がりたいという訳であろう……?」 「……あ」 そう言うと真緒さんは俺を抱き締めて……彼女の腹に勃ちながら寄りかかっている、俺の肉棒に注目して頬を染めていた。 真緒さんの熱、興奮……それらの艶めかしいピンク色の雰囲気に、心が刺激される。 「はい……真緒さんと、エッチがしたいです……」 「先程よりももっと、真緒さんを愛して……味わって……貴女と、もっともっと気持ちよくなりたいです……!」 「それはいいのだが……激しすぎて、私の事を孕ませないようにな……」 「あっ、そうですね……えっと……」 「……これを使いなさい」 ……すると、斬江は俺にコンドームを手渡してきた。 これがアダルトビデオの撮影中であるならば……本番中にもこのようにゴムを手渡してきたりするのだろうか。 改めて斬江という観客がいるのだと思い知り……斬江が席に戻る間、真緒さんも彼女とは反対方向を向いて頬を染めていた。 「……よし」 そしてゴムを装着し、いよいよ挿入の時…… 「……来るがいい」 真緒さんも横になって、股を拡げて……その時を待っていた。 早く挿入れたいと疼いている肉棒……それを真緒さんの膣口目掛けて近付かせていく…… 「んんんっ……!」 「くっ……」 そして挿入した後……入ってきたと悦ぶように、真緒さんの膣内に肉棒がきゅううっと締め付けられた。 一度真緒さんに抱きついて、真緒さんの頭を撫でながら……彼女と共に多少の痛みを乗り越えていく…… 「……もう既に、お前のカタチは覚えている」 「真緒さん……?」 「大和の……好きなように動いていいぞ……」 「……分かりました」 真緒さんは苦しくなさそうだ……実際挿入時も、途中で突っかえる事無くスムーズに入れる事が出来た。 「はっ……はっ……」 「んっ……ん……」 そして真緒さんの言葉に甘えて……好きなように動いてもいいと言われても、まずはゆっくりで本番の幕を開けていく…… 「あっ……あっ……大和……」 「はっ……はぁ……真緒さん……」 ……そして俺達が繋がっている間も尚、背後から斬江の視線を感じる。 今の斬江は何を想って俺達の性行為を見届けているのか……本当に、俺達が愛し合っているという事を確かめようとしているだけなのだろうか。 「……ふぅ、ここからだと二人の顔がよく見えていいわね」 「斬江さん……!?」 「なっ……!」 ……そして斬江は、俺達が顔を見合わせて性行為をしている間に、俺達の横へと移動してきた。 それにより、真緒さんも流石に恥ずかしさに耐えきれなくなったのか、斬江とは正反対の方向へ顔を振り逃げさせた。 「あらいいのよ、構わず続けて……二人がどれくらいに気持ちよさそうな顔で、エッチをしてるのか見たかっただけだから」 「っ……はっ……」 「んっ……んんっ……」 思わず斬江に返事をしそうになるが……構わないでいいと言ったので、斬江の台詞を独り言のように扱って、真緒さんだけに集中して腰を振る。 「うん、二人とも顔が真っ赤ねぇ〜……とっても気持ちよさそうだし、嫌がっても無いから見ていて幸せそうだわ」 「はぁ……あっ……はっ……!」 「んっ……んんっ……!」 「……でもただ激しく動いてるから息も上がって、顔を真っ赤にしてるって可能性もあるわね」 「……!!」 「ちょっと貴方達……こっちに繋がってる所が見える様な体位に変えなさい」 「……!?」 突如飛んできた、斬江からの無茶振り(リクエスト)。 それに思わず腰の動きが止まってしまい、向こうを向いていた真緒さんも斬江の方に振り向いた。 「……あの、それはどういう」 「そのまんまの意味よ……そうね、背面騎乗位とかなら、結合部がよく観察出来るんじゃないかしら」 「……!」 その台詞により、最早斬江は面白がっているようにしか聞こえなかった。 真緒さんの事も考えて、思わず文句を言いそうになって口を開くと…… 「……分かりました」 「真緒さん……!?」 「頼む大和……お前も協力してくれ」 「しかし……!」 「逆にチャンスだと考えよう……私達が本当に愛し合っているという事を、姐さんに何から何まで見せつけてやるのだ」 「真緒さん……分かりました」 そして真緒さんの覚悟も受け取り、仕方なく膣口からペニスを抜いて、彼女から一旦離れる…… 「背面騎乗位というのは……確か騎乗位の女側が前後逆になるタイプのものだったな」 「そうです……騎乗位自体はどういうものかご存知ですか?」 「ああ……女側が主体となって腰を動かす体位だろう? 大丈夫だ……私も一度してみたかった体位だ」 「……分かりました」 ……そうして俺は斬江の対となる位置でベッドに腰掛けて、真緒さんは俺に背中を向けながらペニスの位置にヴァギナを合わせてしゃがんでいく。 「んんっ……」 「っ……」 先程と同じく、難無くズプズプと挿入されていく肉棒……もう離さないでと言わんばかりに、真緒さんの膣壁に再び締め付けられる。 「あんっ……あ……んっ……」 そうして俺が後ろに寝転がっている間に……真緒さんは両手でベッドに体重を掛けながら、腰を振り始めた。 これで斬江の要望通り、俺達が性的に愛情を送りあっている結合部が丸見えとなった。 下を向くと、椅子に座って前のめりになりながら、その部分を注目している斬江の姿が確認できた。 「うん……おちんちんはビンビンだし、おまんこも真っ赤っか……二人共本当にお互いの事が大好きで、心でも体でも愛し合っているのが分かるわぁ」 「はぁっ……あっ……んっ……」 「はぁ……はぁ……真緒さん、大丈夫ですか……?」 「うむ……平気だ……どうだ、私の腰技は……」 「はい……とても気持ちいいですよ……」 「そう……かっ……んんっ」 正常位とは逆に、騎乗位とは腰を振り続ける負担が女側に全振りされる。 体力の限界関係無く、本能というエネルギーで動いているので平気そうな真緒さんであったが……彼女は体力面とは別に、違う事に対しても戦っているようだった。 「ん〜、ふふっ……」 ……それは現在も前から、俺達の結合部が丸見えなセックスを観察している斬江からの視線。 彼女からの視線が気になっているのか……徐々に真緒さんの腰の動きが遅くなっていく。 このままだと動きが遅くて、肉棒が萎えてしまう……斬江に認めて貰う為に早く動くか、真緒さんの精神を気遣って遅く動くか迷っていると…… 「……大和」 「……何ですか、真緒さん」 「申し訳無いのだが……お前も少し動いてくれないか……?」 「真緒さん……」 「独りで腰を動かすと言っても……やはり見られながらだと恥ずかしいのだ……すまない」 「大丈夫ですよ真緒さん……真緒さんだけじゃなくて、俺も一緒に恥ずかしくなりますから」 「大和……ありがとう……」 「腰……動かしますね」 「ああ……頼んだ……」 そうして真緒さんは俺に寝転がり、俺は真緒さんの両肩に腕を回して上半身を固定させながら、俺も一緒になって腰を振り始めた。 俺の肌と真緒さんの尻がぶつかり合い……ぱんぱんという音が響き渡る寝室内。 俺達が息を上げあっている一方で……何故だか斬江の荒ぶり始めている息遣いも聞こえてくる。 「いいわよ大和、真緒ちゃん……二人共、本当に気持ちが良さそう」 「真緒ちゃんも、ついこの間までは小学生だと思ってたのに……いつの間にかおっぱいが大きくなって、おまんこにも毛が生えて……」 「大和も昔とは全然違うおちんちんと身体付きで……二人共、もうオトナなのねぇ」 「そんな貴方達が身分を乗り越えて愛し合って、一つになっている所を見ていると……私も我慢が出来なくなってくるわ……っ……」 「はっ……はぁ……はぁ……!」 「んっ……ん……!?」 ふと前を向くと……何と斬江は俺達の行為を見ながら、バスローブを少し解けさせて、自身の陰部を弄ってオナニーをしていた。 前戯から愛し合っている姿を見せつけられて……最後まで見届けようとしたが、彼女もいつしか発情をしていたという事か。 だが目の前の光景が、異常だと気にする余裕が無いくらいに……今は真緒さんの事しか考えられない。 ……そして皮肉な事に、斬江という他人に性行為を見られているという現状が、射精を行うまでのリミットを加速させる。 ……もっと斬江に、真緒さんと愛し合っている姿を見せつけたい。 「あっ……はっ……真緒さん……!」 「なっ……大和っ……!?」 「真緒さん……ふっ、うっ……好きです……大好きです……!」 「あっ……それ、やめっ……! あんっ、あんあんっ……!」 「〜っ……んっ……」 それから真緒さんに対する腰の動きを早くした事で……斬江の喘ぎ声も聞こえるようになってきた……。 もう二人だけの世界に介入しないように気遣っているのか、斬江が言葉を発する事は無くなった。 真緒さんも斬江以上に喘ぎ声を出しながら、俺からの責めに耐えている。 「大和……やま……とっ……んっ……んんっ!」 「真緒さん……真緒さん……!!」 「はぁっ、やぁんっ……あん、あっ……もうダメ、イクっ……」 「いいですよ真緒さん……一緒にイキましょう……!」 「大和っ……はっ、あっ……愛してる……お前はこれからも、私のモノだっ……!!」 「真緒さん……俺も……これからもずっと……貴女の事が、大好きです……!!」 「はっ……あん、あっ、イク……イクぅ……!!」 「真緒さん……んっ、出しますよ……イキますよ……!!」 「イクうぅ〜っ……!!」 それからもう一度、俺達は互いに愛を確かめ合った後…… 「んあああ〜っ……!!」 「ぐっ……!!」 真緒さんは俺の方に身体を逸らして絶頂を迎えながら……俺は真緒さんの膣内のコンドームに精液を溜めていった。 「はぁ……はぁ……」 ……それから俺の上で背中をぺたりと着地させながら、真緒さんは息を上げながらビクビクと震えていた。 「はぁ……はぁ……真緒さん……」 「……ん」 よく頑張ったと真緒さんの頭を撫でて、彼女がその上から手を乗せて沈黙をしている一方…… 俺達の他に息を上げている者がもう一人。 「はぁ……あっ……はっ……」 斬江も陰毛を濡らして、シートから愛液をポタポタと垂らしながら……椅子に力無く腰掛けて、ビクビクと余韻に浸っていた。 「はぁ……はぁ……私までイッちゃったじゃないの……」 「はぁっ、はっ……」 「はっ……はぁ……」 斬江が俺達の性行為を見て、自慰を行って絶頂まで達した。 脳内から本能的な気持ちが消えて、冷静さが戻った今……斬江に最後まで観られたという羞恥心に上書きされていく。 ……だが真緒さんと無事、絶頂を迎えられた幸福感は変わる事が無い。 しかしそれでも恥ずかしいものは恥ずかしい……その気持ちを発散させるが如く、俺は真緒さんを背中から抱き締めたのであった……。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「……交際を認めます」 ……翌日。 結局俺と真緒さんはあの後、斬江の部屋に泊めさせてもらい……俺と真緒さんが帰る間際に、斬江は昨晩のテストの結果を伝えてきた。 「……まぁ、当然ですよね」 昨日の事を思い出して恥ずかしがるように、頬をかいている真緒さん。 本当にやっと、斬江が俺達の交際を認めてくれた……嬉しくてつい、真緒さんの手を握ってしまう。 「やりましたね……真緒さん」 「ああ、お前のお陰だ……正直に言うと、昨晩は緊張していて思うように動けなかったのだ」 「……そうだったのですか?」 「ああ……それなのに一方的に責められるのが嫌だと腹を立てたりして……本当に恥ずかしい事をした」 「大丈夫ですよ……真緒さん、可愛かったですから」 「うむ……終わりよければすべてよしという奴だ、昨日の情事は忘れろ、この話はこれにて終わりだ」 「ええ〜……」 「ふふっ……二人共身分は正反対だけど、本当にお似合いなカップルね〜」 「……ありがとうございます」 俺達の痴話を聞いてニコニコと満面の笑みを浮かべている斬江……それに対して真緒さんは、口はへの字だが満更でも無い反応を見せた。 「……でも私が貴方達の交際を許しても、果たして帝さん家は許してくれるかしら」 「……あ」 「……」 その警告をすると共に、新宿の景色を儚げに見つめる斬江…… 私が認めても、帝組が許す事が無いから……どうせ俺達の交際が成就する事は叶わない。 もしかして斬江は、最初からそうだと読んでオーケーを出したのだとしたら…… 「……実家の方に、許可を出す必要はありません」 「あらそう?」 「はい……もう私は独り立ちをした身、どのような相手と交際をしたとしても、親からとやかく言われる筋合いは無いです」 「……それに大和は、親から心配をされる程の危険人物でも無ければ、私も大和の事を信じていますので」 「真緒さん……」 そう言うと真緒さんは、俺を安心させるような優しい表情を浮かべながら、俺の頭を撫でた。 本当にその事は気にしなくていいのだろうか……真緒さんが構わないと言っていても、最終的に結婚まで発展するとなると、常識的に考えて実家である帝さん家に、ご挨拶に行かなければならないのではないか。 「まぁ嫌でもその内に、親父には話さなければいけない時が来ると思いますが……とりあえず今は、ヤクザ殺しの犯人を探すのに集中します」 「分かったわ……調査はこの後すぐからやるんでしょう?」 「はい……その間は暫く、大和の事もお借りします」 「ふふっ、勿論♪ ……でもその事が最優先なんだから、仕事中にイチャイチャしたりしちゃダメよ〜」 「分かっています……では、私達はこれで」 「斬江さん……失礼します」 「はぁい、行ってらっしゃ〜い」 ……そうして斬江と別れて、俺達は久し振りに感じる地上へと戻ってきたのだった。 「……」 「……私の家の事は、本当に気にしなくても良い」 「ですが、結婚するとなった時には、真さんにご挨拶に行かなければ……」 「それはそうだが……このままだと別れるかもしれないと、その事だけは思う必要が無いと言っている」 「……そうなんですか?」 「ああ、その……身分に関わらず、お前とは折角出会える事が出来たのだ」 「私も……親の言う事ぐらいで、簡単にお前を失いたくないのだ」 「真緒さん……」 「……だから親の事は気にせずに、今は仕事だけに集中しろ」 「……分かりました」 真緒さんは俺とは違い……親に怯える事無く、将来を見据えようとしている。 彼女に手を差し伸べていれば……皇組に縛られている俺の事も一緒に、自身が目指している未来へと連れて行ってくれるかもしれない……そのような気がした。 「……さて、まずは一息つく為にコーヒーを買いに行くか」 「っと……その前に今の私はパジャマだし、朝からやる事が山積みだな」 「俺も……一度渚の様子を見に行ってもいいですか? 昨日の夜に別れた以来会っていなくて」 「良いだろう」
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