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エピローグ
「残念だったね」
「あぁ。でも、時代の流れなんだろう。仕方ない」
翌日。さらさらと小雨の降る路地を、二人並んで傘を差して歩いていた。
目当ての紫陽花は、20年近く経った今でも変わらず鮮やかで綺麗だったけれど、いつの間にか若い女の子たちやカップルが訪れる場所になってしまったようで。
「『映え』だか何だか知らないけど、自分の眼で見て感じる方がよほどいいと僕は思うけどもね」
綺麗なものを見たら写真に残したくるのは人情だけど、あそこまで行くとガサツな私でもちょっと違う気がする。
「お寺の方も、境内に風鈴を飾ったり、それを見込んでるみたいだったし……でも、10年くらい経ったらまた、流行りも変わるんじゃない」
「良い方に変わるといいけど、期待は出来ない気がするけれどね」
駅への帰路は、裏道を選んだのであまり人通りもなく、いつのまにか話も途切れて無言で歩いていると
「史香」
ぽつりと、彼が言った。
「ん?」
「10年経ったら、って言ったけど、その頃になっても、こんな風に付き合ってくれるかい?」
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