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夜7時。仕事を終えてキッチンに行くと彼が一人で食事をしていた。
「夕飯は出来ているよ」
「ありがとう」
料理が好きで作ってくれるのは助かるけど、虫の居所が悪い時は
「僕もたまには人が作ってくれたものが食べたいものだね」
なんて言われる。
けど、作ると
「きみのは手抜きだ」
と言われる。
もう慣れてるけど、外に出て別の空間で息抜き出来る時間が無くなってからはちょっと辛い、時もある。
今日の献立は、肉じゃが、なめこと豆腐の味噌汁、小松菜のお浸し。
お浸しは、私は茹で野菜に醤油をかけたので十分なんだけど、この人が作るのはきちんと出汁を取って鰹節も載せた上品なものだ。
実家は、裕福だけど人間関係は複雑だった家みたいで、だから無駄に舌は肥えていてこだわりは強くて……という性格が出来上がったんだろうけど、家事全般、他人に任せるのは嫌だから自分でやる、という姿勢は基本的には助かっている。
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